ヒヨドリ。 野鳥シリーズ41 ヒヨドリ

ヒヨドリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

ヒヨドリ

取材・文/柿川鮎子 写真/木村圭司 していて、必ず目に入る鳥のひとつがヒヨドリです。 冬の間は特に、けたたましく鳴きながらヒヨドリ仲間で空中バトルを繰り返す姿が、よく見られます。 バードフィーダー(餌やり場)では餌を独占する嫌われ者で、野鳥に慣れてくると、たいして珍しい鳥ではないと思ってしまいがちですが、その生態は不思議に満ちていて、ヒヨドリならではの魅力がたくさん。 今回はそんなヒヨドリがもっと素敵に見えてくる3つのエピソードをご紹介しましょう。 ところが1970年代いは春から夏にも生息し、子育てもする留鳥へと変化したのです。 当時の新聞の一面では「都内でヒヨドリが繁殖した」という記事が掲載されるなど、その生態の変化が注目されたのです。 都内にいる野鳥の中では約半世紀を経て、ようやく市民権を得た野鳥と言えるでしょう。 なぜヒヨドリが都心部でも繁殖できるようになったのか、本当の理由についてはまだよくわかっていません。 本来は平地から山地の林に生息する鳥で、少しずつ市街地から農耕地へと広がって行き、都市部でも生息場所を見つけたようですが、分布が広がった経緯についてもよくわかっていません。 都市部に進出した理由の一つとして、都市鳥研究の第一人者、唐沢孝一先生は餌の問題があると言います。 「野鳥の生態を見る中で、食餌の問題は重要なポイントとなります。 ヒヨドリは植物の実、花の蜜、昆虫、そしてパンなどの人口食品など、何でも食べる雑食性の鳥です。 都市部でそうした食べ物が豊富であったことから少しずつ増えてきたのかもしれません。 とはいえ、本当のところ、どうして都内に進出してきたのか、はっきりしたことは、まだよくわかっていないんですよ」(唐沢さん) メジロ用の軽いバードフィーダーは重たい鳥が止まるとひっくり返る仕組みになっているので、ヒヨドリは必死にホバリングして蜜を食べます。 この優れた飛行能力を持って、ヒヨドリは集団で移動する「渡り」をします。 ヒヨドリの渡りは津軽海峡の龍飛岬、愛知県の伊良湖岬、鹿児島県の佐多岬などが有名ですが、どこもヒヨドリにとっては命がけの飛行。 渡りの途中で命を落とす個体も少なくありません。 タカの渡りで有名な愛知県の伊良湖岬では毎年秋、一日1万羽以上のヒヨドリが海面を渡る姿を観察することができます。 ハヤブサなどに捕食されないよう、海面すれすれに集団で飛ぶ姿を、昔の人は「龍の渡り」と名付けて見守ってきました。 うねうねと長く集団で飛ぶ姿は圧巻です。 しかし、このヒヨドリが渡った先でどのように暮らしているのか、どこまで渡っているのかについては、まだよくわかっていません。 生態調査は進んでいるので、数年後、ヒヨドリについてのあっと驚く研究成果が発表されるかもしれません。 ヒヨという鳴き声が名前の由来です。 ヒヨヒヨと鳴く以外、繁殖期になると、いろいろな鳴き方をして、楽しませてくれます。 ヒヨドリの巣は幸運の証という言い伝えも。 美しい姿であるのと同時に、よく見ると一羽ずつ羽や柄に特徴があります。 私たちの身近な野鳥としてカラスがいますが、カラスは黒一色で目や嘴の具合でじっくり観察しないと、なかなか区別がつきにくいもの。 一方、ヒヨドリは羽の模様や顔の茶色い部分の形、冠羽の立ち具合や、身体の大きさなどに差があり、ベランダによく来る個体が判別しやすいのです。 バードフィーダー(餌やり場)などがあれば、気が強い子、ちょっと弱気な子、うるさく鳴く子、我慢強い子など、それぞれ性格も異なるのがよくわかります。 * * * 以上、今回は都心でも見られる鳥・ヒヨドリについて、知っておきたい3つのことをご紹介しました。 個体の違いがわかりやすく、見ていて楽しいヒヨドリ。 じっくり観察すれば、あなただけの「ココが可愛い」というチャームポイントが必ず見つかる魅力がたくさん。 これからもずっと身近な鳥でいて欲しいものですね。 指導/唐沢孝一さん 研究者。 1943年群馬県生まれ。 東京教育大学(現・筑波大学)理学部卒業。 都立高校などの生物教師をへて、現在は執筆や講演、自然観察など多方面にわたって活動している。 都市鳥研究会顧問、NPO法人自然観察大学学長。 シジュウカラの研究で文部大臣奨励賞、モズの生態研究で日本鳥学会奨学賞。 2003年市川市民文化賞 スウェーデン賞 を受賞。 都市鳥に関する著作多数。 「」 文/柿川鮎子 明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。 東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。 著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。 写真/木村圭司.

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ヒヨドリとは

ヒヨドリ

もくじ• まず、人間がヒヨドリを含む野鳥の雛を保護するケースというのは、たいていの場合、 巣立ち前の雛であり、地面に倒れている雛を見て…「ひょっとして怪我をしているのでは?」、 「あのままここにいたら他の動物に襲われるかもしれないし危険かも」と判断して保護する… 「誤認保護」なんです。 確かに、 ヒヨドリなどの野鳥の雛が地面に倒れている所を見ると気にはなるでしょうが、 人間の一方的な思い込みで保護をするということは、野鳥の生態系を乱すことになるので、 極力そのままにしておくのが良いと言えるでしょう。 次に、どうしても人間が保護しなければいけないという状況になった時の保護方法についてです。 ですので、 一番大切なことは栄養補給ですよね。 とは言っても、成鳥のように何でも食べれるという訳ではないので、 自力で餌を食べられるようになるまでは、必要な水分などを補え、 なおかつ吸収も早い「補液(ほえき)」を2時間おきに与えるようにしましょう。 ただし、 あまり与え過ぎてしまうとお腹を下してしまう恐れがあるので、注意して下さいね。 目安としてはスポイトで1~2滴で十分です。 ちなみに補液の一例を挙げると・・・ 以上のようなものなどがあります。 順次、紹介していきます。 スポーツドリンクor子供用リポビタンDを2倍に薄めたもの スポーツドリンク・子供用リポビタンDは、コンビニなどで簡単に手に入れられるものです。 ただ、これらを 原液のまま与えてしまうと、雛の身体には刺激が強すぎてかえって毒になってしまうので、必ず2倍に薄めて与えるようにして下さい。 豆乳 豆乳と言えば、一見人間が飲む物というイメージが強いですが、 豆乳には、大豆タンパク質が豊富に含まれているので、 雛の栄養補給にもバッチリ効果を発揮してくれるんですよ。 人間であってもタンパク質を摂取すると、疲労が溜まっている筋肉が回復し、 より強い物へと生まれ変わるという働きがあるので、雛に与えても問題無いという訳です。 再度人間を例にとると、人間も食べ物が何も食べられないほど体が弱っている時は、 まずは水などで水分補給をしようとしますもんね。 衰弱している雛に餌がある程度食べれるようになるまで毎日与え続ければ、 雛の身体だけではなく心まで温まり、次第にあなたに懐いてくれるようになるかもしれませんよ。 なお、 蜂蜜や果糖が無ければ砂糖でもOKですので、 甘くなり過ぎないように注意しながらよく溶かして与えましょう。 確かに、人間であっても(また人間かっ!)、大量に汗をかく夏には水分だけではなく塩分も同時に補給することで熱中症が防げたり、体力が回復したような気持ちになりますもんね。 それと同じく、 雛にとっても塩分は体力回復に大きな効果があるので、 「ブドウ糖液はウチには無いし、水では…」という人は食塩水を作って飲ませてあげましょう。 衰弱があまり激しくない場合 次に、それほど 衰弱が激しくなく、餌を食べられる状態にある時に与えても良い物は、 アオムシ・緑色のバッタ・コオロギなどの小さな昆虫・ミルワーム・すり餌などです。 なお、 ここまでご紹介した餌はあくまでも「臨時の餌」なので、 与えても良いのは保護からおおよそ2、3日の間だけです。 それ以降は雛の成長に合わせた餌を与えるようにしましょう。 濡れている場合は、保温前にタオルで身体を拭く• 人間の手では温めない:人間のほうが体温が低いので、逆に体温を奪ってしまうから• 脱水症状や室内の湿度に気を付ける• 使い捨てカイロ・こたつ・電気カーペットなどは、危険なので使わない 以上のような注意点があります。 次は怪我をしている際の対処法についてです。 ケガをしている場合の対処法 対処法とはいっても、 こういった場合は 各都道府県の野生鳥獣の担当機関、または動物病院に連絡するのがベターです。 しかし、たまたまそういった施設が休みだった場合は、人間がその役割を担うしかありません。 ですので、上でご紹介した 保温方法などで身体を温めてあげたり、餌を与えたりし、 再びベストコンディションに戻るようにできる限り手厚くケアしてあげて下さい。 あなたのその優しい気持ちがしっかりと雛に伝われば、ひょっとすると雛があなたを親だと思い込み、何かしらの愛情表現をしてくれるようになるかもしれません。 ヒヨドリだけではなく、野鳥の飼育というのは全面的に禁止されているので、 場合によっては、 自然に返す「放野」という選択肢をしなければならないことも…。 これまで 愛情を注いで育ててきたぶん、寂しい気持ちはあるでしょうが、 どうしてもそうなってしまったら「しょうがない」と割り切るしかないですよね。 では放野する場合はどのようにすれば良いのかというと…、 まず本当に放野しても大丈夫かどうか、チェックする必要があります。 餌を探して食べることができる• 水を見つけて飲むことができる• 羽づくろいや水浴びができる• 羽の力も強く、元気に飛び回れる• びっくりした時にすぐに飛び立ったりなど、危険を回避できる• しっかりと止まり木に止まり、そこで寝ることができる これらの項目を全て自力でできるようであれば、時期を見て放野しても良いでしょう。 さて、今「時期を見て」と書きましたが、 実は鳥の雛には、それぞれ放野にふさわしい時期というものがあるんです。 では、 ヒヨドリの場合はというと、 たとえ元気になっても放野までに結構な時間をかけたほうが良いと言われています。 というのも、 ヒヨドリは自力で飛べるようになってからしばらくすると、 「換羽(かんう)」という羽が抜け替わる時期に入るので、 その時期が終わって完全に大人の羽になってから放野するのが安全なんですよ。 また、 ヒヨドリの特性として「とても甘えん坊で人間に懐きやすい」というものがあるので、 育てている時からあまり甘やかしすぎないように、あるいは、 放野することを決めてからは極力冷たい態度で接することが大切だと言われています。 ここまで育ててきたので、胸が苦しくなるほど辛いことかもしれませんが、 「これもこの子の自立のためだ」と考え、あえて心を鬼にして接するようにしましょう。 ヒヨドリの繁殖期は5月中旬~8月ですので、 そこから逆算すると、 ヒヨドリの巣立ちは6月中旬~7月にかけて始まると言えるでしょう。 なお、それまで間は、親鳥が木の実などの栄養価の高い物を積極的に食べさせるんですが、 やはり人間をはじめとしたすべての動物の親が子に対して持っている「親心」なんでしょうね。 また、ヒヨドリにとって巣立ちとは、 巣から飛び立つことではなく「巣を出て地上に降りる」ことを意味します。 それは、巣立ち間もないヒヨドリは飛べないからです。 地上で飛ぶために必要な筋力を身に付け、飛び方を覚え、 十分に力を身に付けたヒヨドリは、はじめて、青く澄み渡った広い大空へ飛んでいくのです。

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都心でも年中見られる「ヒヨドリ」3つの特徴【ベランダ野鳥観察のすすめ】

ヒヨドリ

スズメ目ヒヨドリ科に分類され、森林や市街地でも姿を見ることができる身近な野鳥です。 全長は28cmほど、翼開長が40cmほど。 日本では全国に広く分布していますが、世界的に見ると朝鮮半島や台湾などの限られた地域にしか生息していません。 食性は雑食で、昆虫や果実、花の蜜などが好物。 羽ばたきと、翼を閉じた滑空をくり返す「波状飛行」という飛び方をし、長期間エネルギーを温存しながら飛び続けることができます。 名前の由来にもなっている「ヒーヨ、ヒーヨ」という鳴き声は、甲高く、都市部では騒音被害として報告されることもあります。 また餌が少なくなると畑の作物を食い荒らすこともあるため、農村部では狩猟鳥に指定されています。 寿命は野生下だと5年ほど、飼育下だと長ければ10年ほど生きるそうです。 かつてヒヨドリは、秋になると越冬のために朝鮮半島などから日本へ渡ってくる冬鳥でした。 しかし近年は、時間をかけて日本の環境に適応したため、1年をとおして国内で姿を見られる「留鳥」となりました。 ただ、北海道や東北など寒冷地に生息している個体は、10~11月頃に群れを作って本州へ南下するため、地域によっては季節ごとに短距離の移動をする「漂鳥」としての性質をもっています。 本州以南に生息する個体に関しても、夏場は標高の高い山で過ごし、冬場は平地へ降りてくるものが多く見られましたが、1980年代頃からは1年をとおして平地で過ごす個体が増えてきました。 さまざまな環境に適応する能力が高い鳥だといえるでしょう。 ヒヨドリの種類ごとの特徴を紹介 日本には、ヒヨドリ科に分類されるシロガシラのほか、ヒヨドリ属のなかに8種の亜種が存在します。 主なものの特徴をご紹介しましょう。 シロガシラ 頭部に白い綿毛のような羽毛を冠した姿が特徴です。 全長は20cm弱。 中国南部や朝鮮半島、台湾などに生息し、日本では八重山列島と沖縄本島で姿を見ることができます。 なお沖縄に生息する個体は固有種ではなく、人為的に持ち込まれたものが繁殖したと考えられています。 リュウキュウヒヨドリ 琉球諸島や宮古諸島に生息する亜種です。 全長は27cmほど。 一般的なヒヨドリと比べて全身が黒っぽい体色をしていて、頬から喉にかけて赤褐色の模様が入っているのが特徴です。 ハシブトヒヨドリ 小笠原諸島南部の火山列島に生息している亜種で、太いくちばしが特徴です。 同じく小笠原諸島に生息しているオガサワラヒヨドリは八重山諸島にルーツをもつのに対し、本種は伊豆諸島や本州にルーツをもつことがDNA分析の結果からわかっています。 タイワンヒヨドリ 沖縄県与那国島のみに生息している亜種です。 全身が黒やグレーの羽毛で覆われています。 クロヒヨドリ 全長は25cmほど。 全身が黒い羽毛で覆われているので、赤いくちばしがよく目立ちます。 台湾や中国南部、東南アジアに生息。 日本では1度だけ、与那国島で迷鳥が観察されたことがありました。 ヒヨドリの巣は縁起がいい?巣作りから産卵、雛の子育てなど 彼らの繁殖期は、4月下旬から9月にかけてです。 木の枝の上に10~20cm程度のお椀型の巣を作ります。 営巣する樹木は2~6mほどの高さのものが多いですが、30cmほどしかない低木や10m以上の巨木にも作ることがあり、また常緑樹や広葉樹、針葉樹と種類もさまざまで、特別なこだわりはないようです。 巣が完成すると、メスは3~5個の卵を産み、2週間ほど抱卵をします。 孵化した雛の世話はオスとメスで共同でおこない、わずか10日ほどで巣立ちの時を迎えます。 巣作りから巣立ちまででも、約1ヶ月間しかないのです。 1回の子育てが早く終わることから、同じつがいで年に2~3回子作りをすることも珍しくありません。 またヒヨドリは、自分たちの力だけで巣を作りあげることから、繁栄や立身出世の象徴と考えられていて、自宅に巣が作られると縁起がいいとされています。 「カラス先生」という異名をもつ動物行動学者、松原始による作品です。 カラスやスズメ、ウグイス、ヒヨドリなどをとりあげて、研究者はどのように身近な野鳥を観察しているのかを語る内容です。 とにかく野鳥愛に溢れていて、学術的な知識以外にも、作者が自宅の庭にやってくる鳥たちを見て感じたことなどが記されています。 ヒヨドリについても、食性を調べるために糞を解析した話や、野菜畑を荒らすのに植物の葉や茎は食べないのはなぜかといった話など、興味深く読むことができるでしょう。 専門的な内容もわかりやすい言葉で語ってくれているので、少しでも鳥に興味のある人は楽しく読むことができる一冊です。 ヒヨドリなど身近な野鳥を網羅した図鑑.

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