ワイテルズ pixiv。 #ワイテルズ 価値とは

#ワイテルズ 次はお前が

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深く吸い込んで、吐き出す。 眼下には見慣れた景色、それと残酷な香りが漂っていた。 倒れていく人間だったもの、溢れて地に吸い込まれていく赤、むせ返るような硝煙と鉄錆の匂い。 それらから連想されるもの、それ即ち、戦場。 自分が此処に居ることに疑問を持ったことは無かった。 産まれたときに血を浴び、物心付いた頃には銃を抱え、記憶に残らない内に殺しの術を身に着けた。 自分の身を守るために、誰かを殺す。 そういう物だと思っていたし、それ以外を知らなかった。 暖かい家族の存在、生きる為だけじゃない食事の仕方、文字の読み書きも知らなかった。 それが、必要な物じゃなかったから。 知識と言うのは排他的で不必要で必要なものだ。 無くても苦労しないだろうが、あっても特に損はない。 知らない方が良かった、と言うのは知っているからこそ言える言葉だ。 誰の言葉だっただろうか。 名前なんて覚える必要が無かったから覚えなかった。 ただ覚えているのは、それが男で紫色の瞳をしていたことだけ。 何故自分にそれを言ってきたのかは分からない。 単なる気紛れかもしれないし、何かを口にしておきたかっただけかもしれない。 それでも、自分はそれを覚えていた。 覚えて、記憶していた。 だからこそ自分は、知らないことがあることを知っていた。 それを、知りたいと望んだ。 『九時方面一人、四時方面三人。 』 耳元から聞こえてきた司令の声に銃を抱え直す。 それが誰か、なんてものはどうでも良かった。 知る必要が無いものだと思っていたし、知ってもどうにも出来ないものだったから。 スコープを覗いた先に見えたもの、それに息が詰まった。 飢えた獣を思わせる鋭い瞳の光、生きるか死ぬかの状況であるにも関わらず上げられた口角。 何故、何故そのような顔が出来る。 何を思ってどう考えて、それが出てくるのだ。 たった四人の敵に、引き金を引くことが出来なかった。 魅せられた、完全に。 勝てる筈がない、そう思った。 四人と一個師団、そこから始まった戦争。 続々と倒れていくのは味方、だと定義されていたものだけ。 敵だと教えられた者たちはほとんど傷も負わずに立ち向かってくる。 何を思っているんだ、何を考えているんだ、何を想っていたんだ。 知りたい、知りたい知りたい! 気付けば、味方だと思わされていたものに銃を向けていた。 自分はスナイパーとして木の上で待機していたため、簡単に撃ち殺すことが出来た。 皆困惑していた。 突然背後から銃弾が撃ち込まれる恐怖、殺されるかもしれない畏怖。 それを知っている、知っているからこそ躊躇いもなく撃ち込むことが出来た。 司令の声なんかどうでも良い、味方の叫び声も聞こえない。 ただ、彼らの思考を知りたい。 だって、それは知らないものだったから。 殺すのは簡単だった、自分は強かった。 少なくとも、自分より強い人を知らなかった。 前からと後ろから、敵と味方だったものに挟まれた人たちは何を思って逝ったのだろう。 それも少し気になるけれど、今はそれ以上に気になることがある。 たった四人と一人に、一個師団は殲滅された。 [newpage] 懐かしい景色と香りに、彼は吐息を漏らした。 的にしてくれと言わんばかりの人々、煩い程の雄叫び、銀色に光る武器たち。 いっそ清々しささえ感じる。 その隙間を縫うように通り過ぎていく風たちは爽やかに木々を揺らした。 『起きてるか、Broooock。 』 耳元から聞こえてきたのは、地を這うような低い声。 「流石に起きてるよ、シャークん。 」 数年前までは一方通行でしかなかったその機械は既に会話が出来るまでになっていた。 軽量化、小型化され、付けていることを忘れてしまう程度にはしっくり来ている。 どれだけ暴れ回っても取れないようになっているので、前線で戦う自分たちにはとても有り難い品物だ。 『じゃあいい。 』 自分の待機している木の数メートル離れた場所で、軽くストレッチをしたシャークんが此方に向かって合図を送った。 それに何も返さず銃を構える。 数年過ごして、彼らの思考は大方理解出来た。 何か如何にも綺麗そうなことを言っていたが、要約すれば、楽しいから、だ。 戦うこと、勝利することに楽しみを見出し、相手が強ければ強いほど笑みが漏れる。 貪欲に戦いを求め勝利したら投げ捨て、敗北すればまた立ち上がる。 戦争自体が、まるで玩具のように彼らの掌の上で踊らされるのだ。 走っていったシャークんの目の前には一個師団は有りそうな人間たち。 そのシャークんから少し離れた場所にはNakamuときんとき、それからきりやん。 あのときの陣形。 少しだけ違うのは後ろに自分がいて、更に後ろにもう一人居ると言うことだろうか。 与えられたアサルトライフルは、自分の手にぴったりと収まっていた。 まるで、ここにある事が当然のように。 むしろここに無ければ可笑しいとでも言うように。 自由に動く四人の後ろで敵を撃つ。 自分は自由に動けないし、気を遣わなければならない。 それでも、それを嫌だと思ったことは一切無かった。 彼らの思考、感情は手に取るように分かる。 だって、 「ははっ…!」 乾いた笑い声が聞こえた。 それが誰の声であるかなど、分かりきっていることだ。 彼らの思考を理解した、それと同時に其処に堕ちた。 愉しさと楽しさと嬉しさと悦びと喜びを知った。 歓喜と残虐と悲哀と快感を覚え、それを得られる場所を知った。 与えて貰った。 『Broooock、後ろ。 』 アサルトライフルから離した右手を懐に入れる。 ハンドガンを取り出して、振り向きもせず後ろに向かって撃ち放った。 虫のような声を上げて落ちていくのは、もと人間だったもの。 「ないす〜。 」 遠い昔、それほど昔では無いのかもしれないが遠く感じてしまう過去と同じ声。 知識について語り、損得について騙っていた男。 「さっすが、スマイル!!」 ここで一度、過去の話をしよう。 数年前、四人と一人に一個師団を殲滅された話。 あの話には裏側がある。 裏切った男と同じ師団に居た通信役の男は、全ての配線を断ち切り連絡を不可能にした。 報告も命令も出来ず、何も出来ない味方だったものたちは慌て、暴れる敵相手に逃げることを決意した。 しかし、それは不可能だった。 何故なら、其処にも裏切り者がいたから。 『投げるから避けろ!』 言葉と共に戦場に小さなボールが投げられる。 それは数秒、いや数瞬の隙も無く爆発した。 大量に飛び散る火薬、それと光。 味方たちは避け目を塞いでいたようだが、敵はそれを諸に食らった。 予想出来ないだろう、火薬と共に光を放つ爆弾なんて。 逃げようとした元味方たちを阻んだのは大量の地雷と爆弾だった。 配布されていた爆弾よりも桁違いの威力を持ち、地面と共に人間を抉っていく。 普通は作れないその凶器に、手も足も出なかった。 結果的に、師団は消え去った。 地形と多くの犠牲を共に。 『えへっ…』 司令役の彼のチャンネルは全て開いているため、笑い声が聞こえる。 敵の位置を見事に把握し、作戦を適宜変え、成功へと導く。 勝利の導き手も彼らと同じ、ただの狂気に魅せられた人間なのだ。 戦場で暴れ回る味方の邪魔になりそうな敵を排除する。 たまに爆発をし、より遊戯を楽しむ。 そのために、彼らは笑うのだ。

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カラオケで会ったあの人は... 【ワイテルズ】

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今日もいつもと同じオシゴトの時間だ。 オシゴトはほとんど毎日あるけど、俺らは6人居るから日によって分担している。 例えば、月曜日はきりやん、火曜日はぶるーく、水曜日はきんとき等で分けている。 今日は俺の番なので、少し嫌だけどキレイにするためにはこのオシゴトは必要なんだ。 俺等も楽しいからする事も一つの理由だしね。 少しの間、汚い空を飛んでいると急に白いもふもふの尻尾の先に水色の色がついているキーホルダー的な物が今日のオシゴトの対象であろう人の方角へキーホルダーが指していた。 俺は、ニヤリと頬を上げ対象の相手である今までのワルイコトを見るために対象の相手を指している水色の尻尾のキーホルダーをギュっと握る。 すると、今までのワルイコトをしている記憶が、俺の脳の中に次々に入ってく。 ふ〜ん…。 なる程ね〜。 そのオシゴトの一人目は40に近い旦那様。 どうやら、20人ぐらいを家で殺した連続殺人者で全国で指名手配をされているらしい。 その旦那様は人の血のあたたかさとか、匂いが好きらしく、殺しては血を抜き血の風呂にしてる結構シャークんみたいな、サイコパスみたいな人らしいんだ。 これはオシゴトがいがありそうだ…。 俺は、さっきのよりも頬を上げほうきの速度をあげて向かう。 まぁ、いいけどさ。 オシゴトするから。 旦那様は、殺された人の家族とかの人達の悲しみを知らずに、ゆうぎに難しい本を読んでいた。 俺は、そんな旦那様にバレないようになるべく、視界が入らない後ろから近づいていき 「こんばんは、旦那様。 」 とよそ行きの声でそう話した。 勿論、その旦那様は突然俺が来たので目を小さい丸にしながら驚いていた。 「誰だ、貴様は」 当然のように警戒や殺気を目から出しそんな質問をしてきた。 俺は、その質問を嘲笑い 「魔法使いですよ、だだの。 せっかく合ったんだからだから、俺の魔法で遊びましょうよ。 」 そう言って、腰から水色の杖を出した。 旦那様は乗る気なのか「面白い、やってみろ。 」と人を殺したような冷却と幼児のように、楽しんでいるような目をしながら俺を見てきた。 俺は、ニヤリと悪魔の笑みをし、旦那様を見下すような目を向けて 「俺の魔法で貴方が好きなチノアメを出してあげましょう」 水色の杖を一振りして旦チノアメを屋敷全体にふらせた。 雨って言っても、大雨だから喜んでくれるよね? でも何故か、旦那様はその雨を見た瞬間家の中に入ろうとするが俺が魔法を使い、開けられないようにした。 だって、せっかく旦那様のために好きなチノアメを出したのに旦那様が浴びなくては出した意味がないじゃん?そう思うよね、誰でも 「ふざけるな!?中に入れろ!!!!あ"あ"あ"ぁ"ーー!?」 そう叫んでる間に、旦那様は俺の出したチノアメを体中に浴び俺はヨロコンデいる姿が見れると思ったが、何故か苦しそうにしていて、よく見ると旦那様の体は服と皮膚が溶けていて、一部に骨が丸見えだった。 オカシイナァと思い、チノアメを手に入れてみるとグツグツと燃えていそうな音を出していて赤い光を放っている溶岩だった。 後ろを見ると庭とか家とかも溶岩のせいで溶けたり燃えていた。 「あれ、血じゃなくて溶岩でした…。 でも、その俺を見下すような目とかは消えておらずまだ生気は感じられた。 「ごめんなさいね。 変わりにミズを出しますよ。 」 俺は、そんな旦那様がカワイソウに感じたからマグマを消し、反対のミズの雨を出した。 コレデイイカナ?と思ったけど、さっきよりも苦しそうに声を荒げ、目の周りの皮膚に当たったのか溶けており目のがそのままドロっと出てきて、それを最後に、旦那様の生気は感じられなかった。 残ったのは、わずかに残る正常な皮膚の残りとトロトロになっている皮膚しか無かった。 「まぁ、貴方はそういう運命だったんですよ。 馬鹿ですね。 地獄に行けば血の雨なんて、すぐ出ますから楽しんでくださいね。 旦那様。 」 俺は、悪魔のように笑みをこぼた時尻尾のキーホルダーがまた、次のオシゴトの対象者の元に向かいその場から姿を消した。 しかも、最後のオシゴトのお祖母様は俺にアカイワインかけてきたから白いパーカーがアカク汚れちゃったよ…。 洗濯しなきゃな…。 我が家というアジトに戻り、家に入ると、俺が帰るのを待ってたのか夜中なのにリビングにきんときが、寝巻き姿で俺の好きな温かいココアを作っていた。 「お疲れ様、なかむ。 あれ、アカク白いパーカー汚れてんじゃん。 」 「うん。 ちょっと、お祖母様がねアカイワインをかけてきてね…」 「そっか。 じゃあ風呂とか入ってきたら?寝巻き用意してあげるから。 」 「まじ!?流石、俺のズッ友!」 今日もオシゴトはツカレタ。

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#ワイテルズ 価値とは

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ついに手を出してしまった…(顔を手で覆いながら) 勢いのまま書いたため拙い文章ではありますが、あたたかい目で見守っていただければ幸いです。 <注意!> この小説は、とある実況者様方の名前をお借りした二次創作小説です。 本人様方とは全く関係が無い作者の勝手な妄想の産物です。 某夜を廻るホラーゲームのシリーズ2作のパロディです。 ゲームの設定をお借りしているので、苦手な方は注意を。 作者は未プレイなため、原作とは異なる点もあると思われます。 また、死ネタ、欠損表現、その他捏造過多。 閲覧は自己責任でお願いします。 誹謗中傷等はご遠慮お願い申し上げます。 何か問題がありましたら、コメントでそっと教えてください。 非公開にさげます。 「何でも来いやあ!」と言う方は、どうぞ。 キャプションを必ず読んでから閲覧お願いします。 それでは、どうぞ。 [newpage] 夏の終わりのある日の夕暮れ時、とある町の公園で、二人の少年は出会った。 一人はパンダパーカーを着た少年。 少年は右目に白い眼帯をつけており、左目は青空を閉じ込めたような色をしていた。 もう一人は赤いヘッドセットをつけた少年。 少年は右ひじから下の腕が無く、目は翡翠を思わせる色をしていた。 二人は今日が初対面である。 それなのに何故か二人は惹かれあうかのようにブランコに隣り合って座って話していた。 「へえ、じゃあシャークんは隣町に住んでいるんだ」 「おう。 そういえば、何でナカムはこの公園にいたんだ?」 青空の少年、ナカムに答えながら、シャークんはふと思ったことを尋ねる。 ナカムは笑って、友だちを待っているのだと答えた。 「実はさっきまで友だちと一緒にいたんだけど、途中ではぐれちゃって。 それでケータイで連絡して、今迎えに来るの待ってるの」 「へー、俺は飼っている犬がどっか行っちゃってさ。 かしこいやつだから、すぐに帰って来るとは思うんだけど、捜しに来たんだ」 俺は捜して、お前は捜されているんだな、とシャークんは笑う。 ほんとだ、とナカムも笑った。 ふと、二人はお互いの顔を見つめあって、もしかして、と口を開いた。 「シャークんも、みえるの?」 「やっぱり、ナカムもか?」 二人はお互いの目をじっと見つめて、そんな予感はしてた、なんて、また笑いだす。 夕日に染まる公園の中、他に誰もいないこの場所には二人の笑い声だけが静かに響いていた。 それから、二人はまた話し始めた。 今度は当り障りのない話でもなんでもなく、二人にしか分からない、嘘のようで本当にあった、恐ろしい夜の話を。 [newpage] 俺にはね、さっき言ってた友だち…きんときって言うんだけど、そいつの他に、もう一人友だちがいたんだ。 名前はスマイル。 こいつが本当に変なやつでさ、暗いし、いつもやる気無いし、たまに何言っているのか分からないし。 でも、本当に良いやつだったよ。 うん、良いやつだった。 …死んだんだよ、事故で。 俺とスマイルで、あいつの飼っていた犬の散歩をしていた時に。 俺の町の、トンネル近くの道路でさ、犬のリードを俺がうっかり離しちゃって。 犬が走り出したのを、スマイルが追いかけて、それで。 猛スピードで突っ込んできた車に、轢かれたんだ。 俺の目の前で、あいつと犬は車に思いきりぶつかって、それで道路横の崖の下に落ちていった。 車はそのまま通り過ぎて行って、呆然として立つこともできなくなった俺と、血の跡だけがそこに取り残された。 …結局、その後もスマイルと犬の死体は見つからなくて、警察も捜すのを諦めた。 俺ときんときは、夜中にこっそり家を出て、死体を捜しに行ったんだ。 二人で、スマイルたちのことをちゃんと見つけようって。 そうやって二人で捜しに出たその夜に、今度はきんときが居なくなった。 俺は、きんときも捜すために、その日から毎日夜の町を歩き回ったんだ。 何度も何度も怖い目に遭った。 道を歩けばオバケたちが襲い掛かってきて、死にかけて。 それでもなんとか逃げ切った。 怖かったけど、彼らを見ているといつも悲しくなった。 ああ、よまわりさんっていうオバケに攫われて、廃工場に行ったこともあったなあ。 あれ、シャークんもあるの?同じだね、俺たち。 そういえば商店街の神社にいた百足様はまだ元気にしているかなあ。 え、シャークん百足様も知ってるの?じゃあさ、今度一緒に行ってみようよ…あ、ごめんごめん。 話がそれたね。 それでね、途中でやっとスマイルの飼い犬の幽霊を見つけたんだ。 犬は俺にこっちだよって言っているみたいに走り出して、俺もその後を追いかけた。 途中で何度か見失いそうになったけど…走って、走って。 なんとか辿り着いた所は、あの道路横の崖の下だったんだ。 そこには、犬と…体の透けたスマイルがいた。 スマイルも幽霊になっていて、駆け寄ってきた犬の頭を撫でてたんだ。 生きている時と、同じように。 もう死んでしまっているなんて、思えなくて、考えたくなくて。 泣きそうになった。 俺が声を掛けたら、スマイルは笑ったんだ。 見つけてくれてありがとうって。 俺の体は持っていかれてしまったけど、せめてこいつの死体は埋めてやってくれって。 きんときのことを頼んだって。 そう言って、スマイルと犬は消えた。 そこには犬の死体と、スマイルの付けていたブローチしか残っていなかった。 見つけてあげることなんか、できていないのに。 どうしてお礼なんか言うんだよ、どうして死んじゃったのって、心がぐちゃぐちゃになった。 俺は泣きながら犬のお墓を作って、花を二輪そこに置いた。 しばらくの間、ブローチを握りしめながら泣いて、泣いて。 すっかり泣きはらした後、トンネルに向かった。 そこに、きんときが居るような気がして。 真っ暗なトンネルの先の、山の神社にいる神様に、きんときは攫われていた。 その神様は、死体みたいな青白い人間の集合体が、顔をつくっているみたいな見た目だった。 今まで見たどんなオバケたちよりあまりにもおぞましくて、邪悪で、ああ全部こいつのせいだって思った。 きんときだけじゃない、スマイルのこともこいつが連れ去ったんだって。 そしたら憎くて憎くてたまらなくなって、もうこんな目に遭う人を増やしたら駄目だって、だから俺はそいつを封印した。 その代わりに右目が潰されてしまったけど、きんときをちゃんと生きて連れて帰ることができた。 俺がきんときを途中まで担いで歩いていたんだけど、きんときが目を覚ましてから気が抜けて、その後は逆に担がれちゃったんだけどね。 そのままいつの間にか寝ちゃってて、目が覚めたら病院で、すぐそばにはきんときが居て。 泣きながらすっごい怒られて、抱きしめられて。 ああ、生きててよかったって、安心して。 二人でわんわん泣いてたら、看護師さんに怒られちゃった。 はい、これで俺の話はおしまい。 次はシャークんの番ね。 [newpage] 俺の話?話って言っても、大体ナカムと似たようなもんだぞ。 あー…と、まず、俺にも二人友だちがいたんだ。 名前はぶるーくときりやん。 ぶるーくはいつも眠そうにしてて天然で、きりやんは世話焼きでよくギャグがすべってたな。 …それで、二人とももう死んだ。 二人とも、俺のせいで。 数か月前、俺は山の神様に連れ去られたんだ。 ナカムの町のとは違うやつだけど…二人は俺を助けようとして、それできりやんは俺の代わりに神様に殺された、らしい。 俺は、その時のことを覚えていなかったんだ。 意識の無かった俺を、ぶるーくは担いで逃げた。 結局、その後きりやんは行方不明っていう扱いになった。 目が覚めてからその話を聞いて、とてもショックを受けたことを覚えてる。 悲しくて、辛くて、寂しくて。 でも、俺よりもぶるーくの方がずっとずっと悲しかったし辛かったし寂しかったんだろうな。 全部知っているあいつの方が、何も知らない俺より、何倍も。 ぶるーくは誰にも言えるはずの無いことを抱えていて、俺はそんなことを知らずにのうのうと暮らしていた。 あいつは、俺のことを恨んでいたかもしれない。 今じゃあもう、分からないけど。 …話がそれたな、わりぃ。 それからしばらくして、夏休みになった。 俺とぶるーくは二人で花火を見に行く約束をしていたんだ。 山の上から一緒に見ようって。 それで約束の日、俺たちは花火を見に山に行った。 花火はすごい綺麗で、二人で話しながらずっと見惚れていた。 もう一人、きりやんが居ないことが少し寂しかったけれど、俺とぶるーくは最後まで花火を見続けた。 そして花火が終わって山道を下りる途中、ぶるーくがいなくなった。 俺が目を離した隙に、あいつは消えていた。 俺は、ぶるーくを捜すために夜の町を歩き始めたんだ。 オバケとか、怖いのが苦手だったから何度もくじけそうになった。 何度も死にそうな思いもしたけど…同時に、彼らも寂しいんだっていうのも分かった。 もう死んでる相手にしてやれることなんて、ほとんど無いとは思うけどな。 あと、途中で変な犬…なんか、心なしかきりやんに似ている犬と出会ったんだ。 そいつが俺の今の飼い犬。 そいつは何度も俺を守ってくれた。 自慢の犬だよ。 あ、そうだ。 お前コトワリさまって知っているか?俺の町にある廃れた神社で祀られている神様なんだけど…今は、人間たちの身勝手なお願いのせいで、すっかり歪んでしまった神様なんだ。 コトワリさまは本来、「もういやだ」って言った人の悪い縁を切ってくれる神様だったんだけど、今じゃあ手足のあるものなら何でも切ろうとして襲い掛かってくるようになったんだ。 俺も実際、何度も襲われたんだけど…助けてくれたこともあった。 その時、俺はぶるーくを捜しにもう一度山に来ていたんだ。 山道をずっと歩いた一番上の場所、そこには、多分ぶるーくが建てたきりやんの墓と、ぶるーくの遺書が置いてあった。 あいつはもうとっくに死んでたんだ。 近くの木に結んであった、ロープで首を吊って。 あいつも山の神様に呼ばれて、精神を追い込まれて自殺した。 きりやんが死んでから、少し不安定になっていたのもあると思う。 あいつの遺書にはきりやんが死んだこと、そして俺についてのことが書かれていた。 それを読んで、俺は目の前が真っ暗になった気分だった。 全部俺のせいだったんだって。 気づけば、俺は箱の上に乗って、ロープに手をかけていた。 でも、遠くから犬の鳴き声が聞こえた。 不思議なことに、その声が俺を必死に引き止めようとしているように聞こえて、俺は山を下りようと道を引き返し始めた。 そしたら、耳元で声が聞こえたんだ。 今度はとても嫌な声だった。 引き返すな、先に進めって。 俺はそれに抵抗して、いやだいやだってもと来た道を歩き続けた。 それでも声は俺に囁き続けてきて、俺はとうとう限界になって「もういやだ」って、声を出したんだ。 瞬間、風を切るような音と一緒に、コトワリさまが来てくれた。 最初は警戒していたけど、いつの間にか声が止んでいるのに気づいて、もしかして助けてくれたのかって思った。 俺は思わずお礼を言った。 そしたらよく分からないけど、コトワリさまは俺に大きな裁ちばさみをくれて、そのまま消えてしまった。 訳が分からなくて、しばらく呆然としていたけど、俺はすぐそばにあった、崩れてしまった大きなお地蔵様に隠れた洞穴を見つけたんだ。 洞穴の中は暗くて不気味で、大きな蜘蛛の巣がいっぱいあった。 俺は貰ったはさみでそれを切りながら、先に進んだ。 そしてその内に、だんだんと記憶を取り戻していったんだ。 数か月前、俺たちはここにいたことを。 その時に、きりやんが死んだことを。 そこは山の神様の根城だった。 洞穴の奥には蜘蛛みたいなおぞましい姿をした神様と、なんだか様子のおかしいぶるーくがいた。 この時、ぶるーくは悪霊になりかけていたんだ。 ひとりで死んだその日から、寂しくて、寂しくて、いっしょにきてほしいって。 そう言っていた。 それから俺はなんとか神様を倒して、ぶるーくと向き合った。 ぶるーくは俺の左腕に糸を何本も巻き付けて、俺を行かせまいとした。 はさみで糸を切ろうとしたけど、また何度も新しく糸は巻き付いてくる。 俺は意を決して、ぶるーくに向かって叫んだんだ。 いっしょにいられなくてごめん、全部全部俺のせいでごめん、もうやめようって。 「もういやだ」って泣きながら叫んだ。 直後、コトワリさまの姿が一瞬見えて、俺は左腕に激痛が走って、そのまま意識を失った。 目が覚めたら、俺は山の麓にいた。 意識が朦朧として、目の前がよく見えなかったけど、きりやんとぶるーくの声が聞こえた気がしたんだ。 きりやんは、だめだよぶるーくって言って、ぶるーくはそれに何度もいやだって言うんだ。 この時、俺は自分が誰かに担がれているんだって気づいた。 それでまたきりやんのだめって言う声がして、ぶるーくは今度はうんって言った。 泣きそうな、寂しそうな声だった。 俺は気づけばまた泣きながら謝っていたと思う。 何を言っていたのか自分でも分からないけど、そしたらぶるーくときりやんが、こっちもいっしょにいられなくてごめんって。 …二人は何も悪くないのにな。 そのまま俺はまた意識を失って、目が覚めたら病院。 左腕を失って、それから少しした後にあの犬を飼うことにした。 見ていると、なんだか懐かしい気分になるんだ、うちの犬。 これで俺の話は終わりだ。 思ったよりも大分長くなったなあ。 [newpage] 話が終わった後、二人はすっかり打ち解けていた。 お互いに抱えるものの形は違えど、通ずるものがあって、ナカムとシャークんはそれまで経験した夜に起こった話を続けた。 そのうち辺りはだんだんと日が沈み、あと少しで夜が来る、といった頃。 二人しかいない公園に、影が二つ。 「おーい、ナカム!何してんのこんな所で!」 「あっきんとき!」 「わんっわんっ!」 「えっ?きりワン!?」 青いジャージを着た少年と、金色の毛並みをした小さな犬が、それぞれナカムとシャークんのもとへ駆け寄る。 ナカムは少年、きんときに軽く頭を叩かれて、シャークんは飛びついてきた犬、きりワンを抱きとめた。 「…お互い、お迎えが来たみたいだな」 「だね。 ていうかシャークん、犬の名前…」 「いいんだよこれで!」 シャークんは吠えるようにそう言って、にかっと笑った。 ナカムも同じように笑い返せば、迎えに来た彼らは訳が分からず首を傾げる。 「何?仲良くなったの?」 「うん、新しい友だち!ね、シャークん!」 「おう、今度一緒に神社行こうぜ」 「約束ね!」 二人はゆびきりげんまんをし、そのまま別れを告げる。 正反対の道に進む彼らは、そこにいない誰かを今日も想いながら、明日を迎えるために帰路に着く。 もうすぐ日が沈み切って、夜が来る。 早足で歩く彼らを、どこからか影が見守りながら、静かに姿を消した。 原作とは違い、右目を潰されてしまっている。 スマイルの死体を奪いきんときを攫った山の神様に対して憎悪(クソデカ)を抱き、その勢いのまま封印してしまったパンダ。 今はきんときの他にもシャークんという友人と共にまあまあ平穏に暮らす。 もしかしたらそのうち白い犬を飼い始めるかもしれない。 原作と同じく左腕を失くす。 きりやんとぶるーくを殺した山の神様に対して憤怒(クソデカ)の感情を抱くが、それよりも闇落ちしたぶるーくをなんとかしないと!と思いながらサラッと倒した歴戦王。 今は飼い犬を愛でつつ新しくできた友人たちとまあまあ平穏に暮らす。 もしかしたらまた新しい犬を飼い始めるかもしれない。 スマイルを捜すために夜の町に出るが、その最中で山の神様に連れ去られる。 ナカムの右目の失明にショックを受け、責任感とか罪悪感から以前より若干世話を焼きがちになる。 今はナカムの他にもシャークんという友人と共に平穏に暮らす。 もしかしたら友人が飼うことになった犬を一緒に面倒を見るかもしれない。 トラックにぶつかった後、実はなんとか生きていたが山の神の手下によって連れ去られる。 身体は取り込まれるが、魂のみはなんとか逃げ出すことに成功。 しかしそこでほとんど力尽きて、飼い犬(幽霊)に頼んでナカムを連れてきてもらう。 おかげで未練はあれど悔いなく成仏できた。 俺のことは気にするな、幸せに生きろよ。 もしかしたら生まれ変わったら犬になるかもしれない。 きりやんの死亡後、精神が不安定な時に山の神様に誘われて自殺してしまう。 原作通りに幽霊になったことを忘れていたが、思い出してからは寂しさのあまりに闇堕ちしかける。 正気を取り戻した後は泣きながらシャークんの手を離してお別れをする。 寂しいけど仕方ないよね、幸せに生きてね。 もしかしたら生まれ変わったら犬になるかもしれない。 シャークんを助けるために死んでしまう。 が、魂は取り込まれることなくなんやかんや無事だった。 あー死んじゃったかーとか思ってたら、今度はぶるーくまで死んでしかもシャークんまで殺そうとして山の神様マジ絶許。 二人のことが心配で心配で仕方なかった。 いっしょにいられなくてごめんね、幸せに生きてよ。 もしかしたら生まれ変わって犬になっているかもしれない。 事故に遭った時は即死であり、スマイルが山の神様のもとへ連れ去られる時にスマイルの手によって逃がされた。 動けない霊体スマイルの代わりにナカムを呼んでくれた影の功労者。 ご主人様だーいすきー!名前は特に決まっていない。

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