カラス アゲハ 売値。 カラスアゲハ

カラスの生態や保護方法

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前書き 2ヶ月前に草稿をある程度書いたところで、書きあぐねてそのまま放置していた文章である。 そもそもは台湾のカラスアゲハについて書く予定だったのだが、そうなると台湾のみならず他の地域のカラスアゲハについても言及せざるおえない。 だが、コレが分類学的に誠にややこしい。 説明するとなると、カラスアゲハの全体像を整理して書くだけでも長文にならざるおえない。 そこから更に台湾のカラスアゲハについて論じなけれならないと思うと、オジサン、💫クラッと目眩 めまい でよろめいたよ。 ゆえにここは敢えて分けて、先ずはカラスアゲハの種全体について書き、のちに回を改めて台湾のカラスアゲハのことを書こうと思った。 言い訳とか御託はこれくらいにして、取り敢えず書き始めまーす。 次回に予定している台湾のカラスアゲハの回を上梓する前に、ここで今一度カラスアゲハの分類を整理しておきたいと思う。 でないと書いてる本人もワケわかんなくなるだろうし、読んでる方はもっとワケわかんなくなりそうだ。 とはいえ、カラスアゲハの世界はラビリンス 迷宮 である。 どこまで解り易く説明できるかは書いてみないとわからない。 蝶採りを始めてまだ10年ゆえ、過去の分類の変遷史も、当時の論争がどんなものだったのかもあまり知らないのだ。 出口の見えない無間地獄 むけんじごく に陥るやもしれぬし、勝手な推察や思い込みがやたらと入ってしまい、正確性を欠く文章になるやもしれぬ。 でもここは当たって砕けろで、ともかく舟を漕ぎ出そう。 従来、カラスアゲハは東アジアから中国北西部にかけての冷温帯から亜熱帯にかけて広く分布し、各地で変異はあるもののそれぞれ亜種とされ、全部ひっくるめて「Papilio bianor」とされてきた。 出展『原色台湾蝶類大図鑑』 しかし、沖縄諸島のカラスアゲハを雌雄の交尾器や斑紋の違いから、別種「Papilio okinawensis」とする研究者も現れた 川副・若林 1976。 推察だが、その辺りから喧々諤々の論争が始まったのではないだろうか? さらに奄美大島の亜種ssp. amamiensisを別種とする見解もあったようだし、それらを全て認めずに以前と同様にカラスアゲハ Papilio bianor 1種とすべきと云う意見も多かったみたいだ。 確か日本で採れた蝶の種類数を競う「与那国ルール」では、遺伝子解析後も頑としてカラスアゲハは1種として数える事になってたけど、あれって今でもそのままなのかなあ……。 この時点で早くも書きあぐねだしたのだが、ここは落ち着いて先ずは日本に棲むカラスアゲハから説明していこう。 カラスアゲハは中国北西部から日本全国、北は北海道から南は沖縄・八重山諸島まで見られ、各地で独自進化は見られるものの各々亜種とされ、昔は全てが同種Papilio bianorとされていた事は既に述べた。 因みに日本国内では、以下のような亜種に分けられていた。 dahanii カラスアゲハ 日本列島亜種 2018. 28 大阪府大東市 飯盛山 分布は北海道・本州、四国、九州、対馬など。 これがワシらが見慣れたカラスアゲハだね。 2018. 28 大阪府大東市 飯盛山 2018. 23 東大阪市 額田山 2018. 基本的に春型は夏型に比べて小振りで、斑紋のメリハリがあって美しい個体が多い。 夏型はこんなんです。 たぶん、あまり綺麗じゃないから真面目に採ってないのだ。 実際、ネットで画像を探してもミヤマカラスアゲハばかりで、カラスアゲハの夏型の標本写真は数える程しかなかった。 人気ないんだね。 それはそうと、よくよく考えてみれば春型のカラスアゲハ ssp. dehaanii って近畿地方でしか採った事がないや。 多分、本土産はわざわざ他の地方にまで採りに行く蝶ではないからだろう。 場所によってさして大きな差異は無いし、ミヤマカラスアゲハと比べればどうしても美しさにおいて劣るから、扱いが蔑 ないがし ろになりがちなのだ。 とはいえ、厳密的には北海道産は明るめの色で九州産は黒っぽくなる傾向がある。 かといって、どこでもそれなりに色調にヴァリエーションがあるんだよなあ。 パーセンテージは別として、青系、緑系、黒系が同じ場所でも混じるのが普通かと思う。 元々、種として個体変異に幅のある蝶で、多型性を包含する某 なにがし かを持っているのかもしれない。 例えば遺伝子が変化しやすいとかさ。 その辺が分類を難しくさせている原因なのかもしんない。 hachijonis ハチジョウカラスアゲハ 八丈島亜種 出展『日本産蝶類標準図鑑』 標本を持っていないので、図鑑から画像を拝借。 特徴は本土のカラスアゲハに比べて色調が明るいところ。 カラスアゲハは毒のあるジャコウアゲハに擬態しており、ジャコウアゲハが分布しない地域 北海道、伊豆諸島、トカラ列島 では色調が明るくなる傾向があるという見解がある 柏原精一 1991。 28 大阪市淀川河川敷 けど、個人的意見としてはホントかね?と思う。 実際、海外でもこの法則はある程度あてはまるみたいなんだけど、だとしてもマネシアゲハなんかに比べれば擬態の精度は相当に低いと思う。 そんなに見た目が似ているとは思わないし、飛び方なんかは全く似てない。 ジャコウアゲハは緩やかに飛ぶが、それと比べるとカラスアゲハは断然速い。 飛ぶ高さだってジャコウアゲハよりも高いし、そもそもの生息環境が違う。 ジャコウアゲハは主に草原的環境を好むが、カラスアゲハは森の蝶だ。 たまに森でもジャコウアゲハを見かけるなあ…。 沖縄本島なんかは、わりかし森にもいたわ。 草原と云う環境には後から適応したのかもしれない。 まあいい。 そこは置いとくとしても、とにかくジャコウアゲハと間違えるだなんて、よほどのことがない限り有り得ない。 やめておこう。 人のことはどうでもよろし。 とにかく蝶の一番の天敵である鳥は、人間が思っている以上に賢い。 犬よりも賢いという説まであるのだ。 だいち、鳥の目は四原色でメチャクチャいい。 この程度の擬態精度で、鳥の目が誤魔化せるとは思えない。 学者やベテラン蝶屋は、ちょっと似てるくらいで矢鱈と擬態関係にしたがる傾向があるような気がするんだよねー。 そこにはきっと擬態であって欲しいという願望が入ってんじゃねーかと思う。 とにかくオラはこのジャコウアゲハ擬態説に関しては懐疑的である。 真似してるとしたら、中途半端過ぎっしょ?速く飛ぶのは難しくても、ゆっくり飛ぶのは簡単な筈。 翅の色が明るくなる事とジャコウアゲハがいない事との相関性なんて本当は無くて、単なる偶然の一致だと思うんだよなあ…。 擬態関係にしちゃうと、生物の不思議ワールド増幅でアカデミックと云うか、何となくカッコよく見えるのだ。 それに大概の事がそれなりに都合よく説明できる。 だいたい擬態って、言うほど効果とかあんのかね?意外と無いと思うぞ。 そういえばヒヨドリ?か何かにバクッといかれたカラスアゲハを見た事があるなあ…。 だいち、明らかに鳥に後翅を啄まれて損傷したような個体が多いじゃないか。 中途半端な擬態は効果無しっしょ。 tokaraensis トカラカラスアゲハ トカラ列島亜種 戴き物の標本で、トカラ列島 諏訪之瀬島の飼育品である。 図示した個体は、たぶん夏型だろう。 okinawensis オキナワカラスアゲハ 沖縄諸島亜種 2013. 28 沖縄本島 名護市 【裏面】 両方とも春型。 オキナワカラスの春型も夏型と比べて小振りで、色鮮やかな傾向がある。 個人的には春型の方が断然好き。 本土産に比べて地色の黒みが強く、下翅の赤色弦月紋が大きくなる。 翅形も四角いので、次のアマミカラスと共にカラスアゲハの中ではかなり異質なグループだろう。 上の2つは同じ個体ですが、色が撮影条件により随分違って見える事を示す為にわざと添付した。 だから、以下の写真も色そのままを鵜呑みしないで戴きたい。 蝶は光の当たり具合など諸条件でどうとでも変わって見えるものなのです。 これらは秋の個体だが、色調からして夏型と言っていいだろう。 春型は下翅の青紋に赤が入る。 また、翅形は更に四角くいボックス型。 裏面の白帯もよく発達する。 【裏面】 う~ん、裏面の画像を入れると他も入れないとアカンかなあ…。 junia ヤエヤマカラスアゲハ 八重山諸島亜種 2013. 4 石垣島 万勢山 野外で見ると色は下の個体に近いが、斜め下から見ると上の個体みたく見える。 ゆえに画像を拝借させて戴こう。 あんま綺麗じゃないから、探すモチベーションも低かったんだろなあ…。 出展『虫村の日記』。 画像はトリミングしています。 翅形はオキナワカラス程ではないが、やや四角っぽい気がする。 本土産と沖縄・奄美大島産の中間くらいかな?少なくともお隣の台湾産よりは四角っぽいと感じる。 台湾産は翅が外側に広がり、尖って見える。 あっ、ここでオイチャン重大なことに気づく。 図示した個体は夏型だわさ。 色も形も完全に夏型目線でした。 そもそもワシって夏とか秋にしか八重山には行ったことがないわ。 春型の実物は見たことがないから全然アタマに無かったよ。 【春型】 二点共 出展『虫村の日記』。 画像はトリミングしています。 スマン、スマン。 春型には、ちゃんと紋があるわ。 でも地味なことには変わりない。 ハッキリ言ってババちいカラスアゲハだ。 春型でこれじゃあ、人気がないのも解るわ。 それにしても、このお借りした画像3点共がキレイな展翅だなあ。 この方の展翅は上手いなと思う。 ここで、ふと気づく。 全ての亜種の春型と夏型の雌雄を図示するべきなんじゃねえの?と。 しかし、既にオジサンは疲れてへろへろなのだ。 どうしても気になる人は、自分で画像を探してくだされ。 お隣の台湾のカラスアゲハ ssp. thrasymedes とはあまり似ていなくて、パッと見はむしろ別種のタイワンカラスアゲハ Papilio dialisに似ていると思う。 春型は見たことがないから、あくまでも夏型目線でだけど。 7 台湾南投県仁愛郷 翅形など細部は厳密的には違うけど、少なくとも色とか鱗粉の粒子の粗さ具合なんかはかなり似ていると思う。 お陰で、なあーんも考えずに発作的に台湾に行った時は頭が混乱した。 何も調べずに初めて行ったから、知識もショボくて台湾のカラスアゲハ事情なんて知らなかったのだ。 採ってるうちに何となくどうやら2種類いるようだとは解ったが、どっちがホントのカラスアゲハなのか首をひねった。 この辺の事は次回にて詳しく書きます。 それにしても翅が剥げててみっともない標本だなあ。 えー、恥ずかしながらこれは人為的損傷です。 展翅後にアチキが誤って手を触れて、ゴソッといっちゃいました。 他にも手持ちのタイワンカラスは幾つかあって、キレイなのもあるんだけど、まだ展翅もしてない。 これを機会に展翅しようかとも思ったが、面倒くさいのでやめた。 書いてて、もうだいぶウンザリしてきてて、そんな気力は無いのだ。 以上、日本産のカラスアゲハの亜種は従来こんな風に分けられてきた。 しかし、大英博物館の「okinawensis」のところにあったタイプ標本 種の基準となる標本 を確認した或る研究者 藤岡 知夫氏? が、そこにあったのが八重山諸島のヤエヤマカラスアゲハだったことから、八重山産のカラスアゲハにokinawensisの学名をあてるべきとした。 だが、阿江 茂氏 ? はそれ以前に大英博物館で確認した時には、okinawensisのところには標本が無かったこと それ以降に標本が置かれた事になる 、学名の命名者であるFruhstorferが南西諸島の島の名前を間違うとは考えられないこと、原記載の論文で示した特徴がオキナワカラスアゲハに合致することなどにより、その論が間違いである事を指摘した。 これに対して藤岡氏は『日本産蝶類及び世界近縁種大図鑑1』の中で以下のような反論をしている。 長いが引用しよう。 「bianor okinawensis のタイプ産地 最初に採集された場所 について、タイプがすり替わったのではないかと疑問がなされている 阿江 1990。 確かに、現在あるタイプがすり替わっている可能性は無い事はないが、記載者が何を見てどう判断したかまで考え始めたら、あらゆる動物のタイプに疑問が持たれることになる。 Fruhstorferのokinawensisの原記載には、石垣島から手に入れたと明記されており、タイプ標本として大英博物館に残されている標本も石垣島産であり、Fruhstorferの記載以前にFritzが入手した個体はもとより、沖縄産のカラスアゲハの標本は大英博物館には全く無いのであるから、okinawensisのタイプは石垣島以外に考えられない。 必要以上に学名を窄鑿してもサイエンスは何も進歩しない。 」 中々の泥試合である。 藤岡氏はこの論に則って八重山諸島の亜種名juniaをを破棄して「ssp. okinawensis」とし、沖縄・奄美諸島のものには新亜種名「ryukyuensis」を与えた。 おかげで古い文献を読んでいると困る。 中身が学名表記のみの文章だと、それがオキナワカラスアゲハを指しているのか、それともヤエヤマカラスアゲハを指しているのかが読んでる途中でこんがらがってくる。 で、アタマがパニックになるのだ。 まあ、二つの学名が存在するのだから仕方がないにしても、後からこの世界に入ってきた者としては迷惑千万である。 だいたい、ryukyuensisという命名の根拠も疑問だ。 ryukyuは琉球を指すのだろうが、それが琉球王国なのか、それとも琉球諸島を指すのか判然としない。 それによって微妙に示す範囲が変わってくるのだ。 琉球といえば、奄美諸島から台湾までの間を指すのが一般的だが、諸説あって薩南諸島や大東諸島、尖閣諸島も含むとする見解もある。 何れにせよ広範囲なのだ。 だからryukyuensisを使用することによって、混乱を誘発させる可能性を十二分に孕んでるよね。 知らない人なら、学名を見て奄美大島辺りから与那国島まで分布する蝶と思いかねない。 何で「yanbaru 山原 」とかにしなかったのかね?沖縄本島では主に北側の山原地域に生息してるしさ。 あっ、奄美大島にもいるから無理か…。 ワタクシ、書き疲れておりまする。 脳が回らなくなってきております ; とにかく下手に地域を指す言葉を使って混乱を起こすような学名なら、嫁はんの名前でもつけとった方がまだええんとちゃうかー。 暴言です。 ワタクシ、書き疲れておりますから、脳が回らなくなってきておるのです ;。 学名を巡る論争はまだまだ続く。 種の解明の為に各地のカラスアゲハの交配実験も盛んに行われるようになった。 ようするに生殖的に離れていれば、両者は別種という考え方だ。 つまり交尾をして次世代が生まれたとしても、その世代に生殖能力が無ければ既に種分化しており、別種であると云う見解だね。 えー、もっと解りやすく説明すると、ライオンとヒョウが交尾すると「レオポン」と云う雑種 F1 ができるんだけど、そのレオポンには生殖能力が無くて、レオポンのオスとメスが交尾しても子供 F2 は産まれない。 もしくは産まれても奇形だったり、親までちゃんと成長しない。 ゆえにライオンとヒョウは別種であると云う証明になるってワケ。 一方、人間はたとえ肌の色が違っても子供はでき、その子供には生殖能力がある。 だからブラックもホワイトもイエローも同一種で、ホモ・サピエンス 人間 は1種類ってワケだね。 人類みな兄弟なのだ。 皆しゃーん、つまりは肌の色で差別するのはナンセンスなのですよー。 話が逸れた。 戻ろう。 各地のカラスアゲハを交配したところ、本州産 ssp. これに対して藤岡氏は次のような見解を述べている。 そこで、もし地殻変動が起こるなどで、二つの群が同所的に棲息を始めたと仮定したら、両者の間に、交尾形態が異なるといった交尾阻害機構が存在しない限り交雑し、交雑すればF1が生じるのであるから、両者の血は交じりあっていく可能性が高い。 この場合も命名法上の単位としては、両種を一つの種として扱うべきである。 」 おいおい、アンタ、大英博物館云々のオキナワカラスの学名のくだりで、たられば論は否定するような事を書いてたんじゃないの?現実には起こっていない地殻変動まで持ち出してきたら、それも立派な「たられば論」だじょー。 ゆえに別種と考える人も多かったそうだから、この交配結果で俄然オキナワカラス別種説が有力になったようだ。 でも、沖縄諸島のものを別種にするならば、他の地域の亜種も別種にすべきであるという意見なども噴出したみたいだね。 たぶんアマチュアの蝶屋の間でもそれぞれの持論が飛び交い、口角、泡飛ばして議論されたんだろうなあ…。 絶対、人間関係とか悪くなったと思うな。 その後、台湾、八重山諸島、沖縄諸島、奄美諸島、本州の隣り合う地域間の交配も行われた 阿江 1990。 全ての組み合わせを試したワケではないものの、結果は生殖能力を持つF1が生じたようだ。 この結果と先程の藤岡氏の見解が、全てのカラスアゲハを1種とカウントする「与那国ルール」のネタ元かもしんない。 因みに論文を直接読んでいないから、生育率はわからない。 良くはないと推察するけどね。 まあ、飼育は気温や湿度などの環境とか与える食餌植物、飼育者の技術力などによっても自ずと変わってくるだろうから、結果は一概に鵜呑みできないところはあるよね。 また、1度だけの実験では正確性に欠くから、それをもって論じるのは危険だわね。 じゃあ、いったい何回同じ実験を繰り返せば信頼できる結果だと言えるのか?これまた大きな問題ではある。 3回?5回?10回?それとも100回?、最低何回の実験をすればいいのかなんて誰にも断言できないよね。 とはいえ、色んな人が交配を試したみたいで、ssp. dehaanii 本土産 とssp. okinawensis 沖縄諸島産 、ssp. junia 八重山諸島産 間には種間雑種F1 第1世代 は出来てもF2 第2世代 が出来ないことの方が多いから、別種説が次第に有力になっていったみたい。 また同時に、それまでは近縁ではあるが別種とされてきたクジャクアゲハ Papilio polyctorとの交配実験も試みられたようだ。 交配結果をお伝えする前に、ここでクジャクアゲハとカラスアゲハの分布を整理しておこう。 カラスアゲハは極東から中国西部を経てミャンマー北部まで分布し、クジャクアゲハの分布は西はカシミール 東アフガニスタン から東は中国四川省・雲南省にまで達し、中国西部からミャンマー北部の間が両者の混棲地とされてきた。 それでは交配実験の結果である。 つまり両者は別種、或いはそれに近い関係だという事だ。 だが、事は簡単には終わらない。 両者の幼生期の形態、生態も殆んど同じで区別がつかないという 原田 1992。 こうなると、クジャクアゲハはカラスアゲハ Papilio bianor と同種ではないかと云う見解も出てきた。 いよいよ戦禍は拡大。 🔥火の海じゃわい。 13 Thailand Fang 因みに、図示した個体は多分グラディエーターと云う亜種かと思う。 【ルリモンアゲハ Papilio paris】 2015. 22 Laos Tabok Tadxaywaterfall 蝶採りを始めて三年目、何の知識もなく行った初めての海外採集で、まだルリモンアゲハを採ったことが無かったから区別できなかったのだ。 それくらい似ている。 とはいえ、見慣れれば間違うことはまず無いんだけどね。 クジャクアゲハも亜種がいくつもあって、ややこしい。 西から東へ順に並べてみよう。 polyctor 原名亜種 アフカニスタン北東部~西ヒマラヤ 出展二点共『swallowtails. 小型で青緑色が強い。 パッと見はルリモンアゲハと見紛うばかりだ。 これは飛んでたら、また間違いそうだな。 triumphator ネパール~ブータン 出展『日本産蝶類及び世界の近縁種大図鑑』 前翅表面に青緑色の帯を生じ、後翅の青紋も大きいとされる。 藤岡さんの図鑑だと、ssp. triumphatorの分布はネパール~ブータンになってるけど、インドシナ半島北部や中国西部のものにこの亜種名を宛がう人もいるようだ。 ネパールからこの辺のヤツをひっくるめてtriumphatorという亜種名になったのかな?ワケ、わかんねーや。 ganesa Dobleday 1842 インド北部 カシヒル&ナガヒル、アッサム 出展『swallowtails. net』 青緑色紋の形がヒマラヤの亜種に近く、前翅外縁に沿う青緑色帯が広いという。 significans 北ミャンマー 出展『日本産蝶類及び世界近縁種大図鑑』 斑紋はpolyctor系だが、次のstocreyiの特徴である白紋が僅かに出るのが特徴のようだ。 また、後翅赤紋の発達が良く、前翅の翅形も尖る傾向がある。 stockleyi ミャンマー南東部~タイ西部 Dawana山脈南部 出展『pictame』 上翅の白紋、下翅を縁取る白が異様に発達しており、シナカラスアゲハを彷彿とさせる特化振りだ。 これはいつか自分で採りに行きたいと思う。 pinratanai タイ東南部 出展『swallowtails. net 』 stocleyiと並ぶクジャクアゲハの異端児。 下翅の瑠璃紋の発達が著しく、美しい種群である。 stocreyiとpinratanaiは共にpolyctor種群の分布の端にあり、しかも連続しない隔離された分布圏だから特化が進んだのではと推測されている。 これも現地に行って、是非ともこの目で見てみたい蝶だ。 それにしても、特異なクジャクアゲハの分布と特異なワモンチョウの分布が重なるだなんて偶然とは思えない。 何か地史的なものが関係しているのかなあ…。 gradiator タイ北部、ラオス、ベトナム北部、中国雲南省 2011. 19 Laos Samnua 最初に図示したタイ北部産よりもラオス東部産 ベトナム国境に近い産地 の方が、より東側なだけに下翅の青紋が減退傾向にある。 とは言っても、同じ地域でも個体差は結構あるんだよねぇ…。 ついでに、まだ紹介していなかった日本以外のカラスアゲハ Papilio bianor の亜種も並べておこう。 bianorは黄河の北側と南側、厳密的にいうと北緯34~35度を境にして北型と南型に分かれるという。 北型は次の朝鮮半島亜種 ssp. koreanus から日本本土へと連なる型で、青緑色をしている。 一方、南型は青緑色の鱗粉の濃淡が無くなる黒っぽい型で、クジャクアゲハに連なってゆく個体群かと思われる。 出展『日本産蝶類及び世界近縁種大図鑑1』 クジャクアゲハの飼育実験のところでも触れたが、四川省や雲南省ではbianor系とpolyctor系が自然状態でも入り乱れており、両者の中間的な特徴を有したものも得られるようだ。 正直、クジャクアゲハとされるミャンマー辺りから中国西部に分布するインドシナ半島北部の奴らは、自分程度の眼識では同じ種群にしか見えない。 アッサム辺りのモノまで含めても、さして変わらないような気がする。 特異なstocreyiとpinratanaiは別としても、こんなの一つの亜種にまとめればいいのにと思う。 とはいえ、見た目が連続的に変移してゆくので、どこで線引きするかは西側も東側も難しいよね。 そうなると、中国からアフガンまで全部bianor1種としなくてはならなくなるんだよなあ…。 それもまた変な感じではあるから、お手上げだすなあ。 とはいえ、相対的に見れば日本本土に分布するカラスアゲハ ssp. dehaanii に極めて近いと云うか、自分にはほぼほぼ同じに見える。 亜種区分する程のものかなあ?遺伝子解析の結果は知りつつも、形態的見地から見てもそう思う。 注釈するのを忘れたけど、この項はあくまでも形態的見地の目線で語っております。 ロシアやウスリーに分布する亜種もいたような気がするけど、あれはシノニム 同物異名 になってんのかしら? 調べてみたら、それらしき古い亜種名が3つも出てきた。 ・Papilio bianor doii[Matsumura, 1928] ・Papilio bianor mandschurica[Matsumura, 1927] ・Papilio bianor nakaharae[Matsumura, 1929] 3つともシノニムになっている。 ssp. doiiは、dehaaniiのシノニムになっているようだ。 ssp. mandschuricaは、タイプ産地が中国・満州になっていた ミヤマカラスアゲハのシノニム?。 となると、ウスリー亜種ではない。 ssp. nakaharaeは、樺太産に与えられたもののようだ。 しかし、これは北海道のモノと区別がつかない為にdehaaniiのシノニムになったみたい。 ということはdoiiがウスリー亜種にあたるのかな? まあ、今やどっちでもいいけど。 調べてたら、ついでに各種の英名もわかった。 せっかくだから付記しておこう。 西ヒマラヤのpolyctor クジャクアゲハ原名亜種 は、「West Himalayan Common Peacock」。 東ヒマラヤのganesaは、「East Himalayan Common Peacock」。 その更に東側のgladiatorは、「Indo-Chinese Common Peacock」となっていた。 クジャクアゲハの和名は、この英名由来からの命名なのかもね。 因みにカラスアゲハは「Chinese Peacock」。 ようするにカラスアゲハはみんな孔雀さんなのだ。 19 台湾南投県仁愛郷 2017. 7 台湾南投県仁愛郷 2017. 12 台湾南投県仁愛郷 あまり使われていないが、タカサゴカラスアゲハという和名がある。 区別するのには便利なので、便宜上、以後台湾本土のものにはこの和名を使用します。 私見では、お隣東側のヤエヤマカラスアゲハよりも反対側の中国大陸のssp. bianorに似ていると思う。 タカサゴカラスについての詳細は、次回17話に書く予定です。 和名コウトウルリオビアゲハ。 その名のとおり明るい青緑色をしており、カラスアゲハ bianor 屈指の美しさを誇る。 緑島産も同じ亜種とされるが、コウトウルリオビアゲハ的な明るい青緑色から台湾本土のようなタカサゴカラスアゲハ的な暗い色のものまでが混在しており、特徴が一定しないようだ。 そのことから、緑島産をssp. kotoensisに含めるのを疑問視する声がある。 こうしてヒマラヤのクジャクアゲハから日本のカラスアゲハまで西から東へと順に並べてゆくと、分布の端と端とではかなり見た目の印象が違うが、連続的に並べてみれば徐々に移行していっているようにも見える。 出展『微博台灣台站』 上段左2つが中国・天津産、右側3つが雲南省産のbianor。 下段は左から順にgradiator ラオス サムヌア産 、stocreyi タイ西部 、significans ミャンマー シャン州 、pinratanai タイ東部 、台湾本土産 台北 、kotoensis 台湾 蘭嶼 となる。 stocreyiは別としても、あとは似た者同士だ。 それゆえか、やがてクジャクアゲハとカラスアゲハとを全部包含して1種類 Papilio bianor とする考えが主流となっていった。 つまり、こんな風になっちゃうワケね。 しかし、時は2000年前後のミレニアムの頃、遺伝子解析という伝家の宝刀的なものが昆虫界にも登場してくる。 そして、21世紀の幕開けに相応しく多くの蝶屋を驚愕させる結果がもたらされた。 自分も今イチわからんので説明は端折るけど、簡単に言うと細胞核のDNAではなく、人間と共生するミトコンドリアのDNA、そのND5遺伝子の塩基配列によって種とは何ぞや?ってところを探ろうと云う試みなのだ。 一言つけ加えておくと、何でミトコンドリアなんだというとですなあ、細胞核のゲノムでは変化があまりないので使えないのだ。 例えると、人間とチンパンジーは明らかに別な生物だよね。 つまり、人間とチンパンジーの祖先は共通だと云うことくらいしかわからない。 ようするに、それだけ違えば別種の証明になるってことなんだね。 JT生命誌研究館 高槻市 のオサムシ研究グループと基礎生物学研究所 岡崎市 の蝶類DNA研究会が発行した遺伝子解析のレポート 1995~2004年 を一冊にまとめたものである。 ニュースレターという形をとっており、正式に論文として発表される前段階のものと思われ、研究結果の速報、あるいは論文の予報みたいなものだろう。 その後、細かいところを詰めて各紙に正式発表されている筈だから、細部の違いはあるかもしれない。 しかし概ねの論旨は変わらないものと判断して、そのまま引用させて戴きます。 字が小さくて見にくいですが、画像をクリックすれば拡大できます の筈です。 2 「カラスアゲハ亜属 Achillides の系統関係」』 カラスアゲハの仲間の系統図はこんな感じ。 普通レベルの蝶屋ならば、系統図を見ただけで『ふむふむ、なるへそね  ̄ー ̄ 』となるとは思う。 でも、キレイなオネーチャンと前途あるオコチャマたちの為に一応解説しときますね。 図を見ると、この群はナガサキアゲハ P. memnon やオナガアゲハ P. macilentus から分かれ、さらにオナシアゲハ P. demoleus と分岐した。 このオナシアゲハから分岐したグループの総称がAchillides カラスアゲハ亜属 と呼ばれているものだ。 そこから最初に分岐したのがperanthus group アオネアゲハグループ だ。 【アオネアゲハ Papilio peranthus adamantius】 2013. 2 Indonesia Sulawesi スラウェシ島亜種である。 アオネアゲハは多くの亜種に分かれるが、コヤツは群を抜く巨大亜種です。 スラウェシ島の蝶は巨大化する傾向が強いんだけど、その例によくあげられている。 何だか展翅が下手クソなので、アオネアゲハグループからもう一点追加しよう。 【ヘリボシアオネアゲハ Papilio lorquinianus】 これは買った三角紙標本を自分で展翅したもの。 多分、マルク モルッカ 諸島のBacan島亜種だったかと思う。 触角が折れているが、これは最初から。 でもオマケで付けてもらったモノだから文句は言えない。 美しい種だし、いつかパプア・ニューギニアに行けたらシバキ倒したいね。 次に分化したのが、palinurs group オビクジャクアゲハグループ だ。 オビクジャクは幾つか採った事があるけど、全部ボロなので同じグループのブルメイアゲハ オオルリオビアゲハ でお茶を濁しときまーす。 【ブルメイアゲハ Papilio blumei】 2013. 2 Indonesia Sulawesi Palopo これもスラウェシ島特産だからバカでかい。 グループ最大種で、オビクジャクとは大人と子供ほどの差がある。 尾っぽまでギラメタで好きな蝶。 ブルメイと分化したもう一方のクラスターが、所謂 いわゆる 真性カラスアゲハ群と呼ばれているグループだ。 そこから更に2系統に分かれてゆく。 上側がbianor group カラスアゲハグループ 、下側がPapilio maackii ミヤマカラスアゲハやタカネクジャクアゲハなどが含まれるグループである。 そして、ミヤマカラスアゲハ系のクラスターから先ずはparis group ルリモンアゲハグループ が分かれ、そこから更にPapilio karna カルナルリモンアゲハ のグループが分岐していった。 ルリモンアゲハはクジャクアゲハの項で画像を貼付したので、ここではカルナルリモンアゲハの画像のみ図示しときます。 【カルナルリモンアゲハ Papilio karna】 出展『蝶の標本 麗蝶』 ルリモンアゲハとカルナルリモンアゲハは何となく似ているから近い関係なんだろうとは思っていた。 だから納得の結果だわね。 とはいえ、大きさはかなり差があってカルナの方が断然大きい。 図示した個体は、ssp. irauana パラワン島 フィリピン 亜種だが、他にポルネオ ssp. carnatus やジャワ島 ssp. karna にもいる。 だが、ジャワ産のものとボルネオ・パラワンのものとは塩基配列に大きな違いがあるようだ。 また、ルリモンアゲハの各亜種も塩基配列に大きな違いが見受けられる。 それをうけてか、たしか現在は台湾中南部のルリモンアゲハと北部に棲むルリモンアゲハ 従来オオルリモンアゲハと呼ばれていたもの が別種扱いになっている筈だ。 北部のものがルリモンアゲハ paris の亜種 ssp. nakaharai とされ、中南部のものには新名タイワンルリモンアゲハ Papilio hermosanus が与えられている。 両者は幼虫形態にも差があり、食餌植物も違うという。 もう一方のクラスターからは最初にオオクジャクアゲハ Papilio arcturus が分かれた。 【オオクジャクアゲハ Papilio arcturus】 2016. 4 Thailand Fang このオオクジャクが分布拡大して辿り着いた果てが台湾で、後に隔離されて進化したのがホッポアゲハだろう。 【ホッポアゲハ Papilio hoppo】 2016. ホッポアゲハはオオクジャクアゲハの亜種とされた時期もあったようだから近縁なのは解っていたけど、やはりそうなんだね。 とはいえ、いまだにホッポアゲハをオオクジャクアゲハの亜種とする研究者もいるようだ。 しかし、両者の分布間には広範囲の空白地帯があるので雑交する可能性は極めて低いから、別種とするのが妥当だろう。 ところで、オオクジャクとホッポの交配をした人っているのかな? さらにクラスターはタカネクジャクアゲハとミヤマカラスアゲハに分離する。 【タカネクジャクアゲハ Papilio krishna】 出展『オークファン』 タカネクジャクアゲハはオオクジャクアゲハよりもミヤマカラスアゲハに近いんだね。 ちょっと驚きでした。 いや、図で見たらそう見えるだけか?分岐順は図とは関係ないかもしんない。 何れにせよ、オオクジャク、ホッポ、タカネクジャクの三者が近い関係である事には変わりはないだろう。 クリシュナ タカネクジャク は、死ぬまでに一度はフィールドで生きてる姿を見てみたい。 もし見たら、アドレナリン💥爆発!採れたら悶絶必至じゃよ。 そして最後は日本人にも馴染みの深いミヤカラさん。 【Papilio maackii ミヤマカラスアゲハ】 2013. 23 北海道 芽室町 2018. 23 東大阪市枚岡 日本一美しい蝶を選ぶとしたら、おそらく最も票が集まるであろうと言われている美麗種。 特に北海道産は輝きが強くて美しい。 日本にいるからあまり感じないけど、ヨーロッパやアメリカのコレクターなんかには憧れの蝶らしい。 そして、渋い美しさのシナカラスアゲハ。 何とミヤマカラスアゲハと同種だと云う結果が出た。 【Papilio syfanius シナカラスアゲハ】 出展『蝶の標本 麗蝶』 従来は別種とされてきたが、ミヤマカラスアゲハとの分布間に両者の中間的なものがいるから、一部では同種ではないかと噂されてはいた。 にしても、この結果に衝撃を受けた人は多かったのではなかろうか。 だって見た目は全然違うもんなあ…。 でも塩基配列がほとんど同じなんだよね。 あっ、こんなこと書いているから長くなるのだ。 とっとと肝心のカラスアゲハグループに進もう。 図1カラスアゲハ亜属のDNAによる系統樹 『カラスアゲハ亜属 Achillides の系統関係』より抜粋トリミング これが今回のお題であるカラスアゲハの系統図である コチラも画像は拡大できます。 いよいよ、ここからが主題であり本題です。 いやはや、ここまで来るのはホント長うございました。 このグループからはPapilio dialis タイワンカラスアゲハが最初に分岐した。 ふう~ん、あんまり考えた事がなかったけどタイワンカラスはカラスアゲハと近いんだね。 タイワンカラスの画像は既に添付済みなので、ここではベトナムやラオスなどにいる無尾型 ssp. doddsi ドドッシーの画像を添付しておこう。 【Papilio dialis doddsi】 出展『蝶の標本 麗蝶』 またしても『麗蝶』さんからの画像拝借なのだ。 展翅が他と比べて断然にキレイだから、いの一番にこのサイトから画像を探します。 やっぱ、プロの展翅はちゃいますわ。 ここでふと思う。 じゃあ、タイワンカラスの無尾型と見た目が似ているオナシカラスアゲハはどれに近いんだ?気になるなあ…。 それにしても、これがカラスアゲハの仲間だとは到底思えない。 何度見てもクロアゲハ、もしくはナガサキアゲハの出来そこないみたいな奴っちゃのーと思う。 カラスアゲハの仲間なのに頭と腹が白いのも変わっている。 これは毒のあるアケボノアゲハの類に擬態しているからだと言われている。 だとしたら、その擬態精度はかなり高い。 カラスアゲハ本来の美しい姿態を捨ててまで生き残ろうと云う見上げた根性の持ち主だよ。 でも遺伝子解析をしたら、カラスアゲハじゃなくてクロアゲハに近かったりしてね 笑。 流石にそれは無いとは思うけど、ミヤマカラスアゲハとか予想外の種と近縁だったら面白いにゃあ。 擬態のホストは、コイツかな? 擬態精度はかなり高そうですぞ。 飛び型とかも似ていたら完璧クラスじゃよ。 【Atrophaneura aidoneus】 二点共 出展『Butterflies of India』 でもオナシカラスの遺伝子は簡単には調べられないよね。 大大大珍品だから、標本数が極めて少ないし、ムチャクチャ高価 100万円くらい! だから手に入れるのは容易な事ではない。 それに遺伝子解析の為には標本の一部が必要だ。 たった脚3本で事足りるらしいが、サンプルを提供してくれるような徳のあるコレクターはおらんじゃろ。 コレクターにとっては、たとえ見た目に影響のない脚3本といえども、1本たりとも失いたくないと云うのが本音だろう。 どうあれ標本が不完全になる事には耐えられないに違いない。 アカン、また寄り道してもうた。 もう一回言っとこ。 ここからが主題であり本番です。 タイワンカラスと分岐した群は、やがて4つのサブクラスターに分かれる。 polyctor triumphator ラオス Lak Sao ・P. polyctor stocreyi タイ ・P. polyctor polyctor 北インド ・台湾 本土 ・P. おそらく中国の黄河北側の個体群も此処に含まれるものと思われる。 でもハチジョウカラスやトカラカラスは現在もその亜種名は健在で、そのまま使用されている。 たぶん、見た目から本土のものとはハッキリと区別できるからだろう。 そういうものは自分も亜種にすべきだと思うから、全く異論はない。 しかし、線引きの条件はあまりにも曖昧模糊だ。 例えばハチジョウカラスとトカラカラスを同じ標本箱にアトランダムにバラバラに混ぜて入れたとしよう。 ハチジョウカラスもトカラカラスも自分で採ったことが無いからこんな事を言うんだけど、自分には両者を確実に判別できる自信は無い。 いったいオラは何が言いたいのだ?長時間、文章を書いてるから脳ミソがふやけてきたよ。 たぶん、種の線引きなんぞはかなり曖昧なものだとでも言いたかったのだろう。 確か沖縄本島と奄美大島が陸続きになっていた時代があった筈だ。 その後、二つの島の間の陸地が海に沈んだのだろう。 両種の見た目は殆んど同じ様なものなのだ。 表向き両者は別種とされるが、明らかに同種の亜種関係にある。 これは色々と曰く付きで、ルソン島 フィリピン のルソンカラスアゲハがワシントン条約の第1類に指定されて採集や売買が禁止になった事に起因する。 その後、同じフィリピンのミンドロ島でソックリな蝶が発見された。 それがP. hermeliだ。 しかし、ルソンカラスの亜種として記載してしまうと、これも採集・売買が禁止になってしまう。 だから、どう見ても亜種なのに、わざと別種として記載したと云う次第なのである。 現地に行けば結構いるルソンカラスがワシントン条約の1類に指定されたのにも裏があるようだが、ここでは本題とは関係ないので割愛する。 でもよくよく見ると、どちらも下翅外縁の紋が派手なのが特徴だ。 いや、反対も有り得るな。 どっちの島が地史的に成立が古いのだろうか?それがわかれば、どちらが起源種なのかも解明できそうだ。 でも、そもそもフィリピンと沖縄が陸続きに繋がった時代なんてあったっけ? しかし、調べる前に本文を読み進めると、次のような記述が出てきた。 「ミンドロカラスアゲハ P. 従ってミンドロカラスアゲハ たぶんルソンカラスアゲハ P. chikae も はカラスアゲハに近縁であることには間違いないが、図1における分岐点を正しく反映していない可能性がある。 」 おいおい、正しく反映していないだなんて、遺伝子解析ってそんなに曖昧なもんなのかよ? 遺伝子解析って、明確で絶対的なものだと云うイメージを持ってたけど、そうでもないのね。 因みにブートストラップ値というのは、各分岐点の脇にある数字で、100回実験したらこれくらいの回数は同じ結果が得られますよと云うことを表している。 ようするにルソンカラスならば、数字は56だから半分くらいしか同じ実験結果にならないということだ。 これではいくらなんでも信頼性が低い。 とはいえ、このあとも更に実験は繰り返されてる筈だよね。 新しい知見もあるに違いない。 探すか…。 ありました。 出展『蝶類DNA研究会 ニュースレターNo. レポート集の後ろに続報の論文があったわ。 知ってたら、最初からそっちの系統樹を載せたのになー。 まっ、早めに見つかったのはラッキーと思おう。 コチラがカラスアゲハとミヤマカラスアゲハを含むいわゆる真性カラスアゲハのグループだね。 そして、更にそれを拡大したものが、下図のカラスアゲハ bianor groupの系統図。 わっ!、前回よりもだいぶ各地のサンプルが増えて詳しくなっている。 こうなると、本来なら前文を消して書き直すべきなんだけど、メンドくせーのでそのまま書き進めていく。 基本的にはあまり変わっていないが、ミンドロカラスの横に新しくルソンカラスが加えられている。 予想通り両種は別種ではなくて、亜種関係ということが証明されたワケだ。 また、ルソンカラスグループはミヤマカラスアゲハのクラスターではなく、カラスアゲハのクラスターに入るのは、やっぱり間違いない事らしい。 但し、4グループのカラスアゲハとの分岐順列は明確でないとあった。 希望的に言うと、沖縄・奄美大島からであって欲しい。 その方が、見た目には進化の流れの過程としては納得しやすいもんね。 石垣島・西表島・竹富島の個体群と与那国島の個体とは2塩基異なるが、別亜種にする程ではないようだ 5塩基以内は同種。 因みに、オキナワカラスとアマミカラスも2塩基異なる。 とはいえ、図を見てもこのサブクラスターは細かく分かれていて、複雑な様相を呈している。 チベットから中国広西壮自治区の個体群が分岐し、さらに台湾本土産と蘭嶼の個体群がそれぞれ分岐する。 驚くべきなのは蘭嶼とラオス Non Het産のものが同じクラスターに含まれていることだ。 蘭嶼のカラスアゲハが明るい青緑なのはそのせいなのかな? だとしても、両者の分布圏はあまりにも遠い。 triumphatorってなっているではないか。 更にそこから先は、従来クジャクアゲハとされてきた亜種群とカラスアゲハとされてきた群が一つのサブクラスターに詰め込まれた形になっている。 中国・福建省、四川省成都 P. bianor. bianor 、インド・カシミール P. polyctor polyctor 、タイ西部 P. polyctor stocreyi 、ラオス Lak Sao これも亜種名はtriumphatorになっている! 、そして、ここには台湾・緑島産のカラスアゲハも含まれる。 蘭嶼とは由来が違うってことか…。 あっ、でも論文には全部塩基配列が完全に一致すると書いてあったなあ。 アタマわいてきた。 どうせバカだから理解力が低いのさ。 とにかく、クジャクアゲハとカラスアゲハは同種と云う事だすなあ。 それはそれとして、遺伝子解析と見た目からの分類とで、この先どう整合性をとってゆくのかしら? 一つの解決が、また新たなる疑問を生じせしめているだなんてパラドックスだ。 日本のカラスアゲハだけに焦点を当てると、次のような系統図になる。 出展『蝶類DNA研究会 ニュースレターNo. この4つは、別種とすべきほど塩基配列の違いが大きいらしい。 この事から現在は亜種ではなく、別種に昇格したものもあるようだ。 たぶん、遺伝子配列が同じということは、最終氷期辺りに分布を拡大した均一の個体群なんだろね。 日本に入ってきたのは比較的遅い時代だと推測される。 とは言っても何万年とか何十万年単位だけどさ。 トカラ列島や八丈島のものから考えると、まずは形態が変化して、後に遺伝子が変化してゆくのが進化の流れの常道なのかもしれない。 沖縄諸島と奄美諸島の個体群も別種になったもよう。 で、奄美諸島のものは沖縄個体群の亜種という扱いになったみたい。 しかし、その論文を読んでいないので、種名は果たして『Papilio ryukyuensis』なのか、それとも『Papilio okinawensis』なのかはワカンナイ。 けど、感じではたぶん『Papilio ryukyuensis』になってそうやね。 とはいえ、現状は遺伝子解析後も「ryukyuensis」と「okinawensis」の両方が学名として使用されている。 もうグッチャグチャなのだ。 ネットとかで見ると、3分の2は「okinawensis」を採用している。 Wikipediaだって、okinawensisだ。 たぶん、オキナワカラスアゲハの和名や分布から、そちらの方がしっくりくるからだろう。 オキナワカラスアゲハの和名があるのに「沖縄の」を意味する学名「okinawensis」がヤエヤマカラスについてるだなんて納得いかないよね。 自分もその意見に全面的に賛成します。 命名の先取権なんぞ糞くらえだ。 ルールは大切だけど、アタマ硬いよね。 八重山諸島産は台湾や中国のものと比較的近いことから別種とはならず、Papilio bianorの1亜種に組み込まれたようだ。 根拠はフィールドで見た時の印象が直感的に違うと思ったから。 アバウト過ぎて叱られそうだけど、勘って意外と侮れないと思う。 違和感と云うのかな、フィールドで何か微妙に違うなと思って採ったものは、大体が激似の別種とか擬態種だとか異常型なんだよね。 とはいえ、勘なんてものはあくまでも個人的なものだし、何となくだなんてあまりにファジー過ぎる。 数値化も出来なければ、言語化も覚束ない。 科学的でないと言われれば、ゴメンなさいなのだ。 これも亜種名が「ssp. okinawensis」なのか、「ssp. junia」のどちらになったのかはワカンナイ。 どうせssp. okinawensisだとは思うけど、心情的にはjuniaを推す。 ホント、ややこしいよねー( ̄~ ̄;) いっそのこと、新名『yaeyamaensis』とでもしたらどうだ。 オキナワカラスの問題も含めて、その方が和名との齟齬がなくて余程スッキリするわい。 もうそろそろ、ええ加減にクローズしたいんだけど、最後に地史との関係を少し書いて終わりにしたい。 先ずは地史による南西諸島の成り立ちから始めよう。 1 500万~170万年前 第三紀鮮新世 出展『蝶類DNA研究会 ニュースレターNo. 2 「カラスアゲハ亜属 Achillides の系統関係」』。 以下、同様。 各図の右上が九州、左下が台湾にあたる。 2 200万~170万年前 第三紀鮮新世末 3 170万~100万年前 第四紀更新世初期 4 100万~40万年前 第四紀更新世後期 5 40万~2万年前 第四紀更新世末期 遺伝子解析の論文では、日本のカラスアゲハがどこから来たかも推測している。 ND5遺伝子を用いた進化速度の計算によると、カラスアゲハが4つの系統に分かれたのが500万~390万年前と推測されるようだ。 中国南部・台湾産各個体が互いに分岐し始めたのが約90万年前、奄美大島と沖縄本島産、与那国島産と八重山諸島産が分かれたのが約50万年前と云う結果が出たという。 過去の地史を紐解くと、500万年~170万年前は南西諸島の西側には島尻海と呼ばれる海が広がり、奄美大島と沖縄本島は一つの大きな島、八重山はまた別な大きな島であった。 その頃に奄美・沖縄と八重山のカラスアゲハは隔離された 図1。 その後、島尻海の陸地化の際にも古黄河と古揚子江・古尖閣川によって隔離され続けた 図2。 南西諸島のすぐ西側は沈降し始めて湿地化していき、やがて陸地化して現在の固有種の祖先の多くが侵入した 図3。 100万年~40万年前に沖縄トラフの沈降による東シナ海の成立で、現在の南西諸島の形がほぼ出来上がると、奄美と沖縄の間、与那国島と他の八重山の島々との間でさらに隔離が起こった 図4。 たぶん、この年代前後にオキナワカラスとヤエヤマカラスが別種化が進んだのだろう。 氷河時代になって海面が下がり南西諸島は陸地化したが、トカラ海峡、ケラマ海峡、与那国海峡はほとんど陸地化せずに隔離が続いた。 一方、台湾は大陸と陸続きに、朝鮮半島と樺太は日本と陸続きになった 図5。 この頃、大陸と陸続きとなった台湾には中国南部より南方型のカラスアゲハ Papilio bianor が侵入した。 また、朝鮮半島と陸続きとなった日本本土へは、中国東北部・朝鮮半島に隔離されていた北方小集団のカラスアゲハ Papilio dehaanii が、最終氷期かそれに近い時代に分布を拡大し、サハリンに至るまで侵入したと考えられる。 しかし、既に成立していたトカラ海峡から南へは進めなかった これは塩基配列が全く同じであることから、比較的最近 約25万年前以内 の事だと言われている。 また同時に、このトカラ海峡の存在は南西に分布していた個体群 ssp. amamiensis の北進も阻んだ。 論文では特に言及はされていないが、一方クジャクアゲハ polyctor は、南方のカラスアゲハ bianor と陸続きで分布が連続するから完全には分化しえなかったのだろう。 出展『奄美群島広域事務組合』 ついでに、同じサイトにあった200万年前の図も添付しときます。 フィリピン群島の地史をネットで調べてみたけど、求める資料にはヒットしなかった。 この辺がもうド素人の限界だ。 書くのにもウンザリだし、おしまいにします。 駄文に最後までお付き合いして戴いた皆様、アリガトごぜえますだ。 ポチは犬小屋に帰ります。 次回は台湾のカラスアゲハの予定です。 おしまい 追伸 えー、先に謝っておきます。 御気分を害された方、御免なさい。 批判めいたものも含めて結構言いたい放題言っちゃいましたが、所詮は蝶歴のまだ浅いぺーぺーがギャアギャア何か言ってるなとでも思って大目にみて下され。 知識も経験も無い者に限って吠えたがるものです。 このようなアホは放っておきましょう。 一応、折角ここまで書いたんだから次回の台湾のカラスアゲハについては頑張って書くつもりですけど、それ以降は続けていく自信なしです。 まだまだ台湾には腐るほど多種の蝶がいる。 2つの種が系統的には遠く離れていても似たような環境に生息すると、形態的に似た種になるのではないかと云うことだ。 いわゆる平行進化とか収斂って言われているやつかな。 えっ、待てよ。 形態変化よりも遺伝子変化の方が先なのか?じゃあハチジョウカラスとかトカラカラスの例はどう説明するのよ?それともどっちとも有り? まあ、どちらにせよ環境が変わると形態が変わると云うのは理解できる。 でも水中とか高山に適応した形態に変化するのなら解るけど、何でそれが斑紋なんだ?この斑紋 ルリモンアゲハとクジャクアゲハなど を見ても、特別なメリットが有るとは思えない。 メリットがあると思うのは、せいぜいホッポアゲハくらいだろう 毒のあるアケボノアゲハに擬態していると云う説がある。 進化に全て意味や理由があるとは限らないのだ。 それこそ何となくそうなっただけなのかもしんない。 ついでに言っとくと、遺伝子解析後もカラスアゲハの新しい分類の仕方を良しとしない学者もいるようだ。 全くもってややこしい話である。

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カラスアゲハの幼虫の飼育方法!エサや食草の好みについて!

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ゴミの回収や管理の徹底で、近年都心のカラスは減っている。 一方、増えているのが地方都市。 繁華街の電線に数千~数万羽単位で現れ、糞(ふん)害、騒音をまき散らす。 人がひたすら忌み嫌い、遠ざけてきたカラス。 夏休み、ヤツらの正体を垣間見てみませんか? 『』を書いた宇都宮大学の杉田昭栄名誉教授に詳しく聞いた。 体重当たりの脳の重さは人間で1. 8%なのに対し、カラスは1. 鳥類では断トツだし、馬などに比べても体重比で大きい。 カラスにできてイヌ、ネコにできないことも山ほどあります。 人の顔を見分ける実験をすると、カラスは2日くらいで覚えるんですね。 数人の顔写真を貼った容器を10回並べ替えても、10回とも餌が入ってる1人の顔写真を選ぶ。 イヌやネコは選ぼうとはせず、たまたま当たれば食べるみたいな感じ。 家畜化されていて、自ら生きる能力が鈍化しているのでしょう。 野生で親からトレーニングを受けて、生きるという思考のスイッチが入るんだと思います。 仕返しするかどうかは別として、人間相手に分が悪いのは察しているので、見かけたらきっとガーガー鳴き立てるでしょうね。 人間の男女を識別できるかの実験もしています。 男女各10人ほどで目や口、鼻など顔の一部を隠した顔写真を見せたところ、男女それぞれに何らかの共通性を見いだして、しっかり区別できました。 おそらく輪郭や色の具合のほか、いくつかのポイントでパターンを読んでいるんじゃないか。 さらに今、笑顔や怒り顔など表情の違いを見分けられるか実験中です。 柔和な表情の人を類似系の1つの集合体にまとめる力があるのかどうか。

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EXアイテム

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サキュバスポーション見つからない -- 2018-03-30 金 18:04:35• マップアイテムを増やす装備とパートナーを連れてダンジョンを練り歩け -- 2018-03-30 金 19:07:28• 雑多な収拾物シリーズは財宝や幸運をつけて回収するとすぐ99個溜まるが注意が必要 -- 2018-04-05 木 01:30:16• 任意のアイテムを99個所持している状態で敵がそれをドロップするとその時点でドロップ判定が打ち切られる -- 2018-04-05 木 01:31:32• 幸運系スキル4つ重ねがけしてレアアイテム荒稼ぎする際は収集品シリーズはマメに投げ捨てるべし -- 2018-04-05 木 01:38:38• サキュバスポーションは夜の探索で一人じゃないと見つからないぞ。 淫魔再戦が条件とか言われてるけど関係はない -- 2018-04-24 火 02:15:55• ちょっとサキュバスポーション絡みのコメント多いのでコメントを。 -- 桜餅 2018-04-24 火 17:25:16• 淫魔戦云々は多分、私の情報だと思いますけど必須条件ではないとコメントしてます。 淫魔戦再戦が全く関係ないかは分かりませんが、ドロップ率はアップしてるように感じました(体感)。 そこは個人のお好みで。 -- 桜餅 2018-04-24 火 17:28:38• 後、夜一人で探索も必須条件じゃないと思います。 パートナーと一緒に昼の探索で見つかった事が一度あります。 ただ上で言われてる通り、夜一人で探索する方が圧倒的にドロップ率高いのは確かです。 -- 桜餅 2018-04-24 火 17:33:09• ブログでやれ -- 2018-04-24 火 17:40:49• 分かりました。 荒れると思ったのでこちらでのコメントは控えてきましたが、最近私絡みの情報が良く出ていたのでコメントしました。 不快な思いをされた方には失礼しました。 -- 桜餅 2018-04-24 火 17:50:48.

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