ある日お姫様になってしまった件について 何話まで。 ひとりぼっちのお姫様が、海へ冒険に出るまで|いとまり♡伊藤真莉|note

【ある日、お姫様になってしまった件について】第76話の感想と妄想

ある日お姫様になってしまった件について 何話まで

* 縦書き? 横書き? LINEマンガでは縦読み形式だが、単行本では普通の漫画のコマ割になっている。 そして、LINEマンガのテキストは縦書きだが、単行本では横書きだ。 多分、元の漫画の原稿は通常のコマ割で作成してるんだろうな。 で、LINEマンガなどの媒体で配信する時はコマ単位・フキダシ単位で分割して、縦読みしやすいよう組み立ててるんだと思う。 だからテキストも日本の出版事情に合わせて縦書きにできるんじゃないかな。 でも、単行本化する時は本来の原稿の形に戻るから、韓国で出版されてるものと同様、横書きになるのだろう。 Amazonのカスタマーレビューには「読みづらいから原稿を反転させて縦書きにしてほしい」なんて意見もあるけど、やめてくれ。 私は横書きのほうが読みやすかったです。 * 父親に媚びて生き残りを図るお姫様 それはさておき、フルカラーを活かした絵が美しい漫画なのだ。 登場人物は美男美女だし、主人公はお姫様らしく多種多様なドレスやワンピースを着ていて、とてもかわいい。 庭にいる場面が多いんだけど、登場人物に重なる緑色の木々の影やこもれびの描写も美しい。 フルカラー万歳。 ストーリーは、いわゆるなろう系なので、ありがちといえばありがちだ。 睡眠薬を飲んだはずの主人公は、とある小説に出てくるお姫様アタナシア(アーティ)に生まれ変わってしまう。 しかし、小説内の彼女は父親である皇帝クロードに疎まれて育ち、小説の主人公ジェニットの犠牲になる形で無実の罪をきせられ、父親に処刑されて死ぬ運命だった。 処刑エンドを避けたい主人公アーティは、冷酷なクロードに「パパ大好き!」と全力で媚を売って生き残ろうとする……(1巻、3巻の表紙にいる仏頂面の男が父親のクロードで、女の子がアーティ) 同じ韓国の漫画『皇帝の一人娘』と酷似してるらしいけど、なろう系などのWeb小説は似たようなネタの話が多いからそのせいかも。 『皇帝の〜』はKindle版が出ていないため、読み比べることができなかった。 (登場人物の名前は、聞き慣れた名前と微妙に異なるので書きまちがえそうになる。 アナスタシアではなくアタナシア、フェリックスではなくフィリックス、エゼキエルではなくイゼキエルが正しい表記) * クロードのつっこみどころ、あるいは面白さ ここから先は、読みながら面白くてじわじわきてしまった部分を、つれづれなるままに書いていこう。 1番ツッコミどころが多くて謎めいていて面白いのが、アーティの父親であり、冷酷で人々にも恐れられている皇帝クロードだ。 まず服装。 なぜか作中のクロードは、ほとんどの場面で古代ギリシャ人のようなひらひらの布をまとっており、正装した表紙との落差が激しい。 布をゆるく肩にかけて腰紐で結び、腕も胸もお腹もほぼ露出した格好なのだ。 他の男性陣はかっちり長袖ジャケットなのに。 寒くないですか?? この世界の季節感がわからない……(暑さ寒さの描写がほとんど出てこないため、常春の天候なのかも) また、クロードは皇帝として多忙なため、睡眠時間も短いと記されているのだが、アーティの前ではいつも暇そうだ。 ぼーっと座ってたり、急に昼寝を始めたり、書類ひとつ載ってないテーブルの前でお茶を飲んでたり。 恐らく、仕事がひと段落ついてからアーティを呼んでいるか、あるいはアーティが来ると聞いた時点でそのへんを片づけているんだろうけど、それにしてもめっちゃ片づきすぎてるんですよ。 周りに人が多いのを嫌って、メイドもほとんど身の回りに置いてないのに。 7歳のアーティが「父親の宮殿に行けばケーキ食べ放題」と学習して、ケーキほしさに突然訪れた時も、クロードは何もないテーブルの前でソファに座り、悠然とティーカップを傾けながら「来たか」とか言うわけですよ。 きっと「姫様がこっちに向かってます」と先触れを聞いた瞬間、急いで仕事道具を片づけたのでは? そしてお茶を飲みながら余裕そうな顔で待ち構えていたのだろう。 そう思うと、めっちゃじわじわくる。 * 余談:学問の描写 アーティは小説の世界に生まれ変わる前の大人だった記憶があるし、勉強もめちゃくちゃがんばるんですよね。 小学校に入るくらいの年齢で、すでに哲学書を読んでいる。 周りが「天才だ!」と褒めてくれるとうれしいし、自分とあまり年齢の変わらないイゼキエルに負けたくないし。 作中で、アーティやイゼキエルの勉学に対する早熟さ・優秀さを描写するため、架空の哲学者・思想家の名前がいくつか出てくる。 それを読んで思ったんだけど、この世界では社会学や哲学といった分野も、ピアノのバイエルみたいに「どの本をどの順番で学ぶか」って決まってるっぽいな。 「この年齢で、この理論を何冊目まで終わってるなんてすごい!」みたいな描写もあるし、四書五経に似てるね。 「男子たるもの、科挙に備えて何歳までにこれくらいやっておかなくては」ってのと似てる気がする。

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第83話 人間を皆殺しにしてきてやる

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彼女が公爵邸に行った理由80話ネタバレ (…誰もいないのかな?) 扉の前で佇むレリアナ。 その時、隣の扉が開いて色黒の女性が姿を現します。 「あの、すみません。 こちらの方がいつ戻ってくるかわかりますか?」 「あぁ…毎日広場で占いをしていたあの怪しい女?あの人なら自殺したけど」 「え?」 レリアナは愕然とします。 「偉い人の目にとまって王城に行くとか言って喜んでたんだけど、ある日自殺したの」 不意に金髪の男性が現れ、二人の会話に加わってきます。 「偉い人の目にとまったなんて…お前そんなの信じてたのか?どうせ詐欺にでもあったんだろ」 「だけど王城に行くって言ってたのよ」 「ったく、なに真に受けてんだよ」 「でも本当にそう言ってたんだから。 皇子を産んだのは私のおかげだとか言いながら」 (皇子?) ビクッと反応するレリアナ。 (ソロソ…! ソロソは黒い神女と繋がっているという噂に苦しめられ、正妃の座につくことができなかった。 邪術の証拠を消すために自殺に見せかけ黒い神女を殺した…。 だったらなぜレリアナ・マクミランは黒い神女に会いに行ったの? 私の魂が身体に定着しない理由と何か関係があるのかな?) 「でもまだ何もわからない…。 今のだってただの憶測だし…」 「どうしたんですか?」 考え込んでいたレリアナの目の前に現れたのは、ジャスティンでした。 「び…びっくりした~」 「ここに誰か住んでるのですか?」 「…いえ」 * 場所が変わり、レリアナの実家にて。 「レリ。 お茶でも飲むか?」 「はいお父様」 「公爵様はよくしてくれてるか?」 「ええ、とてもよくしてもらっています」 (やりすぎなくらいにね) 「そうか。 もし何か辛いことがあればいつでも言うんだぞ。 ここがお前の家なんだから。 我が娘よ…」 父の言葉に違和感を覚えるレリアナ。 「…はい」 * レリアナは自室のベッドに寝転がります。 (なんで…この天井に違和感を感じてたのかわかった気がする) 天井の絵画を見つめて、レリアナは考えます。 (あの絵は私のためではなく、本当のレリアナ・マクミランのための物だから) * 「奥様ですか?午餐会に言っております。 近頃近所の夫人たちと奉仕団を立ち上げたんです。 その方たちとお食事に…あ…」 そうレリアナへ告げていた使用人は、ふと表情を変えました。 「今回は機嫌を損ねてなければいいのですが…」 「え?」 レリアナが疑問符を浮かべた時、レリアナを呼ぶ甲高い声が響き渡りました。 「お母様…?何かあったのですか?」 黒いオーラを纏った母が、レリアナに滲み寄ります。 その目はすわっていました。 「ついてきて」 「はっはい!」 (な…何なの。 怖いんだけど) 「ドレス工房に行ってちょうだい」 「はい奥様」 使用人へそう伝える母に、レリアナは戸惑います。 (どうしたのか理由を聞きたいけど…聞ける雰囲気でもないし…) * 「高くて美しくて清純で上品に見え、かつ最新で古臭くなく、大胆な個性と自由を感じられるドレスを見せてください」 「?」 ドレス工房の主人は困惑します。 「 高くて美しくて清純で上品に見え、かつ最新で古臭くなく、大胆な個性と自由を感じられるドレス…ですね?どなたがお召しになるのでしょう?」 「この子と私のものをお願いします」 「はい。 では少々お待ちくださいませ」 レリアナは母の機嫌をとろうと、母の腕にすり寄ります。 「一緒にお買い物だなんて久しぶりですね。 私の服を買うためにわざわざ呼んでくれたのですか?」 「明日…ティーパーティを開くの」 「わぁ、そうなんですか。 どなたを招待するんですか?」 「この街の夫人たち全員よ」 「はぁ…」 (だから怖いって) 母の目は相変わらずすわっています。 「レリアナ、明日は必ず勝つわよ。 わかった?」 「え?」 母の無言の圧力に、レリアナは泣きそうです。 「わかりました…」 (だから何なのよ…!) 80話はここで終了です。

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ある日、お姫様になってしまった件について 1

ある日お姫様になってしまった件について 何話まで

あらすじ 昔、院内(いんない)の里に辰子という一人の娘がいた。 辰子は野山を駆け巡り、自然にはぐくまれて育ち、やがて美しい娘になった。 しかしそんな辰子は、まだ自分の美しさに気づいていなかった。 ある秋の日、辰子が木の実を取りに山に入ると、茂みの中に鏡のように澄んだ泉を見つけた。 辰子は泉の水でのどを潤すと、何気なく水面に目を落とした。 辰子はこの時、初めて自分の姿を見て、その美しさに気がついたのだ。 それからというもの、自由奔放に野山を駆け回っていた以前の辰子は影を潜め、辰子はじっと物思いに沈むようになった。 自分の美しさに気づいた辰子は、年を取ってその美しさを失うのが耐えられなかったのだ。 「いつまでも美しいままでいたい。 」辰子の想いは募るばかり。 思いあまった辰子は、毎晩観音堂に通い願掛けをするようになった。 すると百日目の夜、辰子にお告げが下った。 お告げはこうだった。 「辰子よ、お前の願いは本来、人の身には許されぬこと。 しかし、美しさにとらわれて苦しむお前の姿は哀れだ。 この山の北にある湖の水を飲むがよい。 その水を飲めば永劫の若さを手に入れるだろう。 」 翌日、辰子はお告げの通り、山を北へ北へと進んだ。 すると、山の鳥、木々のざわめき、果ては風までもが「辰子、村へ帰れ、北へ行くな!!」と言って辰子の行く手を阻む。 だが、辰子はこれを聞かず、なおも北へと進む。 そうして三日目に、辰子はとうとう湖に着いた。 辰子が湖の水を飲むと、全身の血が熱くなり、体を逆さに流れるようであった。 そしてしばらくすると、辰子の体は一頭の龍に変わっていた。 しかし、湖面に映る辰子の姿は、いつまでも美しい娘の姿のまま。 こうして辰子は、永遠の若さを手に入れ、ずっとこの湖に住んだ。 それからというもの、村にいる辰子の母のもとには、湖から魚が届けられるようになった。 これは、辰子が元気に暮らしている証に送ってくるのだと言われている。 投稿者: やっさん 投稿日時 2012-6-26 8:59 ナレーション 常田富士男 出典 松谷みよ子(未来社刊)より 出典詳細 秋田の民話(日本の民話10),瀬川拓男、松谷みよ子,未来社,1958年07月30日,原題「辰子姫物語」,採録地「仙北郡」 場所について 田沢湖(辰子姫の竜の棲む湖)• 余談ではありますが、辰子の母があまりの悔しさと腹立たしさに手にしていた薪の木の尻(燃えさし)を湖面に投げつけたとき、不思議にもこれが一匹の魚となって泳ぎ去ったと言われたが、それが田沢湖特産、国鱒(くにます)で、別名を木の尻鱒と称するものです。 鱗がなく、全身に黒い斑点のある白身の魚だったそうです。 昭和の初めまでは田沢湖名産として珍重され、天然記念物にも指定されるなどして保護されていたが、昭和15年頃、大東亜戦中に東北電力会社の電源開発により玉川水系に生保内発電所が建設されるに及んで、玉川の毒水が田沢湖に流入、これを一大貯水池として同発電所の水源としたため、毒水のために湖の魚のほとんどが死滅の運命をたどらされてしまった。 このため木の尻鱒はその鱗片すらみられなくなったが、ごく最近になって数種類の魚が対毒性を帯びて生息するようになった。 うぐい、鯉などである。 年々、仙北市西木町の方々のウグイ、鯉の放流事業のおかげで数が増加傾向にあります。 だが依然として国鱒だけは姿を現さない・・・・・・・。 以上「辰子姫伝説」より。 」 辰子の母と村人達は思わず息をのんだ。 黒雲の走る空からかすかに漏れる半月のうす明かりに、鉛色にぶく輝く、広い湖が満々と水をたたえているではないか!今までに誰も見たこともない大きな湖が! 「辰子よ!辰子よー!」辰子の母は湖に向かって気も狂わんばかりに叫び続けた。 水の面はしーんと静まりかえり、小波がさらさらと鋭く光るばかりであった。 それでも辰子の母はひるまなかった「辰子よ!辰子よー!」そのとき、湖の中にぼうっと淡い明かりが差したかと見る間に、ざばざばと水しぶきを上げ、銀色の鱗をひらめかした龍が湖水の中から浮かび上がった。 母の声に応じて現れた辰子の姿だったのだ。 辰子の母は、それを見ると、狂わんばかりにもだえ、身をよじり、「辰子よ、私の娘はそんな恐ろしい龍ではない。 私の娘よ!美しい辰子よ!かわいい辰子よ!」とさらに叫び続け、「おまえのような龍など私の娘ではない!」と、あまりの腹だだしさに持っていたたいまつを龍に向かって投げつけると、不思議にもそのたいまつが湖面に落ちると、美しい魚となって泳いでいった。 母の声が聞こえたものとみえ、龍は静かに波間に姿を消したが、ふと気がつくと、母のたっている波間近く、いつに変わらぬ輝くばかりに美しい辰子が現れた。 はっと驚いた母は、息をのんで見つめていたが、我に返ると、「辰子、早く家に帰ろう」と、いうと、辰子は静かに首を振った。 そして、「お母さん、お許し下さい。 私はもう人間ではありません。 先ほどの龍こそ私の今の姿なのです。 今までお話をしませんでしたが、私は永遠に美しさが変わらぬように観音様へ百日の願をかけたのです。 その願いが叶って龍となり、この湖の主となって住むことになったのです。 」そのことを聞くと辰子の母は声を上げて泣き崩れた。 そして「辰子よ、そのままでみんなと一緒に村へ帰ろう。 母さんは、おまえが神龍だの、湖の主だのになるのは少しも嬉しくない、そのままの辰子でいて欲しいのだよ」辰子は悲しそうに母の言葉を聞いていたが、「お母さん、もう嘆くのはやめて下さい。 私までが悲しくなりますもの・・・・・・私が先ほど見せたような姿になったので、さぞや悲しいことでしょうが、これは逃れられない宿命なのです。 これまでかわいがってもらって何一つ孝行のできなかったことをどうぞお許し下さい。 」 「辰子よ、そんなことを言わずに村の人たちと一緒にどうか家に帰って私のそばにいてくれ」「お母さん、その言葉は辰子とても嬉しいのです。 しかし、もうだめなのです。 辰子はもう二度とお目にかかることはできません。 なにとぞお許し下さい。 でも、せめて私の形見として、お母さんの大好きな生魚を四六時中絶やさぬように水屋に送ります。 どうかその魚をみるたびに、辰子は湖の中で若く、美しく、幸せに暮らしていると思って下さい」と、言い終わると、美しい辰子の姿はみるみる龍体と化して湖の底に消えていった。 「辰子よー!辰子よ!待ってくれ!辰子よ!!」声を限りに母は悲痛な叫び声を上げて呼んだ・・・・・・。 しかし、あたりはひたひたという小波の音しか聞こえなかった。 辰子の母も、村人達も、ただうなだれるばかりであった・・・・・・。 辰子の母はじっとしてしばらく湖面から目を離さずにいたが、無性に腹立たしくなり、手にしていた燃え残りの木の尻を湖面に向かって投げつけたのであった。 すると、どうしたことであろう、不思議なことに、その木の尻はみるみる魚となり、尾を振りながら泳ぎ去っていった・・・。 泣き疲れた辰子の母は、村人達に抱えられ、ようよう家にたどり着いたが、その後辰子の言ったとおり、さんの城の家の流しの水槽には一年中を通して魚の絶えることがなかった。 かくして辰子を主としたこの湖は、美しかった辰子を想わせるように水は清らかに青く澄み、また湖畔には辰子の好きだった白百合の花が一面に咲くようになった。 辰子の友達は毎年のごとく春ともなれば湖畔を訪れて、咲きにおう白百合の花をみては在りし日の辰子の姿を思い浮かべるのだった。 永劫の美しさを求めて発願し、大蔵観音によってその願いが叶えられ、神龍と化して湖の主となった辰子の物語は、この湖の続く限り、湖の美しさと共に世の人の心に残り、語り伝えられることでしょう。 後の世までも・・・・・・。 三人の娘たちがふと、目を覚ましてみると、辰子が見えないのに気がついた。 初めはその辺でわらびでも採っているのかと思っていたが、いくら呼んでも返事がないので、次第に不安になり、ついには小走りになり、声をからして辰子を呼びながら森の奥へ、奥へとたどっていった。 すると森の奥の方から、かすかに辰子の返事が聞こえてきた。 「あ!この森の奥だ!」娘たちは、ホッと胸をなで下ろしながら森の奥へやっていくと、そこには見たこともない大きな湖が紺碧の水を満々とたたえていた。 そして湖のほとりこけ岩の上に、恐ろしい龍の姿を見つけた。 そして、かすかに返事をしているのは、恐ろしいその龍であった。 娘たちは気を失わんばかりに驚いて、後ろをみずに森をあとにして逃げ出した。 三人の娘は夢中だった。 すべってはころび、転んでは飛び起きて、転げるようにして山を下り、大声で叫びながら辰子の家にこのことを知らせた。 「なに?辰子が龍になっただと?そんなバカなことがあるものか・・・・・・おまえ達気でも狂ったのではないか?」娘達の叫び声に集まった人々も、あきれて顔を見合わすばかりであった。 しかし、三人の娘達の真っ青な恐怖におののく顔や、不気味な山鳴りを聞くと、ただごとではないと思うようになった。 あまりの驚きに炉端に座ったまま身動きもせずに娘達の話を聞いていた辰子の母は、いきなり立ち上がった。 そして、いろりに燃えさかる槇を手にして半狂乱のようになって、「辰子、辰子」と、娘の名を呼びながら、夕闇の中を院内嶽目指して走り出した! 村の人たちも顔色を変えて後を追い、辰子の母を助けながら院内嶽に向かうのであった。 ようやく院内嶽を越えたか・・・・・・見慣れた山の姿も、丘や林は跡形もなく、雷に打たれ崖は崩れ、ものすごさに不安が募ると共に、ただ胸を突かれるばかりだった・・・。 驚きと恐れにおののきながら、かくがくする足を踏みしめ、さらに木立の中に分け入った しかし辰子は眠れなかった。 辰子はむっくり起きあがると足音を忍ばせながら、寝ている娘たちのそばを離れ、ただ一人で森の奥深く分け入って泉を探し求めるのであった。 いくつもの森林の中を探し、とあるこんもりとした小森を横切ろうとしたとき、さらさらという流れの音を耳にした。 辰子が近づいてみると、きれいな小川で、今までに見たこともないきれいな小川で、今まで見たこともない珍しい魚がいっぱい泳いでいた。 辰子は白い手を延ばして、その数匹をすくい上げ、持って帰り、三人の娘たちと昼の食事に食べようとさっそく串に刺して焼きはじめたのである。 魚が焼けはじめると、その匂いはとてもおいしそうで、つい、こらえきれず一匹を食べてしまいました。 その味のよいことはたとえようもなく、二匹、三匹。 とうとう辰子は一人で全部食べてしまいました。 すると、急にのどが渇き、我慢できないほどになったのです。 辰子は、水を求め夢中で谷間をかけ下りたのである。 のどの渇きはいっそう激しくなり、辰子はさらに深く谷間に下りていくと、真っ青な苔の生えた谷間からきらきらと光を含んでわき出ているものが目に映ったのである。 「あっ!泉だ!」 水は苔むした岩陰からこんこんと湧きだしているものであった。 走りよった辰子は、白い手をさしのべて一口飲んだ。 二口、三口と飲んだが、飲んでも飲んでも、のどの渇きは増すばかり、ついには何もかも忘れ、青い苔岩の上に腹ばいになって、丹い唇を泉につけてごくごくごくごく、と、心ゆくばかりに音さえたてて飲み続けたのである。 そして、どの位どの位飲み続けたのであろう。 泉の水の美味さに酔うがごとくに泉も枯れよとばかりに飲み続けているうちに、どうしたことか、辰子は目がくらみ、気が遠くなり、体の中の血が逆流するかのように異様な感におそわれると、みるみる辰子の美しい姿が、岩の上に腹ばいになったまま恐ろしい蛇体へと変わっていった。 すると、今まで麗らかだった春の日が一転にわかにかき曇り、天地もさけるかのような稲妻、地鳴りや雷の音がとどろき、篠をつくような豪雨が降り出し、山は崩れ落ち、谷は裂け、山の形はみるまに変わっていくのであった。 こうして谷が埋もれて満々と水をたたえた湖水が現れ、世にもまれなほど美しかった辰子は蛇体となって、ついにこの湖の底に姿を消していったのである。 こうして百日目の夜だった。 ぴったりと堂の前に座り、一心に祈り続ける辰子は、日頃の疲れも手伝ってか、いつの間にか、夢とも、うつつともわからぬ境におちいっていた。 そのとき辰子は、確かに観音様のお姿を見、そのお声を聞いた。 「辰子よ、かわいそうな辰子よ、よくぞ百日の間通い続けた。 おまえがそれほど願うなら、この山を北へ北へとふみわけて行くがよい。 そこには清らかな泉がわいているだろう。 ・・・・・・その水を飲めば、おまえは永劫の美しさを得ることができるだろう・・・・・・。 けれど辰子よ、その前にもう一度考えてみるがよい。 おまえの願いは人間の身には許されない願いであるということを・・・・・・。 そのときになって悔やんでもおそいのだ。 」 「いいえ、いいえ、この美しささえ保つことができますなら、どんなことでも悔いるようなことはありません。 」辰子は自分の叫び声に、ハッとして我に返った。 あたりは、しいんとしてただ青い月の光が、お堂の周りの木の間から洩れているだけであった。 「夢ではない。 夢ではない。 ・・・・・・たしかに観音様のお告げがあったのだ。 北へいって・・・・・・泉の水を飲めと。 」辰子の眼はきらきらと喜びに輝くのであった。 「辰子よ、その前にもう一度よく考えてみるがよい。 おまえの願いは、人間の身には許されない願いだということを・・・・・・」辰子は観音様が最後にいわれたことを、繰り返し、繰り返し考えてみた。 そして静かに首を振った。 たとえ、どんなことになっても私は悔いはしない。 ・・・・・と。 辰子は自分の心の動かないことを知った。 そして、何日かたったある日、近所の娘たち3人を誘い、山菜を採りに行くといってなにげなく家を出た。 百日の間、夜ごとに願いをかけてかよった院内嶽への道を、今日こそ願いを叶えるためにいくのである。 辰子の胸は喜びに燃えていたのである。 こうして辰子は、三人の娘たちと、わらびなどを折りながら院内嶽を越え、もや森をすぎ、 やがて高鉢やまの下をたどっていったが、目指す泉はどこにも見あたらなかった。 もう太陽も高くなり、疲れ切った辰子と3人の娘たちは草原に寝ころんで青い空を眺めていると、さわやかな風が吹きすぎ、娘たちは間もなく、ぐっすりねこんでしまった。 この日から辰子は変わった 今まで心の動くままに野山を走りまわっていた辰子は、じっと物思いに沈むようになった。 やがて冬がおとずれ、雪が降り積もった。 長い冬の間、いろりのそばに座って、火を見つめながら辰子は考え続けていた。 「やがて春が来る。 そして夏がすぎ、秋がすぎて、また冬がめぐってくる・・・・・・。 こうしてだんだん年をとっていく美しい娘たちも腰のまがった年よりになっていくのだ・・・・・。 」 辰子は両手で頬をおさえた。 「ああ、私はがまんができない・・・わたしもそうなるのだろう?・・・・この美しい私も?」 そう思うと、辰子の胸はしめつけられるように苦しく切なくなっていくのだった。 村の年よりたちが炉端えよっていくのでさえ、今の辰子にはみているのが苦しかった。 「私もああなるのだ。 いつか私も・・・・・・。 」 そしてついには母の姿をさえ、未来の自分の姿かと思われ、美しければ美しいほど、人間に生まれたことすら呪わしくなり、考えれば考えるほど、眠れない夜が続くのであった。 暗の中をみつめて辰子の身はもだえるのであった。 「ああ、私だけは年をとりたくない。 いつまでもいつまでも、この美しい姿でいたい・・・。 」と、夜をとおして思い続けるようになった。 ある真夜中のことであった。 辰子はふいにむっくりと起きあがった。 「そうだ、神様にお願いしてみよう。 神様に一心こめてお願いしたら、この願いがかなえてもらえるかもしれない。 」 辰子はそっと家を抜け出した。 まだ残雪があるので道は白く、月の光も身を刺すかと思われるほど冷たかった。 しかし辰子は寒さも忘れ、真夜中の道を院内嶽へと歩き続けた。 そこには大蔵山観音のお堂があった。 その夜から、辰子は雨の日も、風の日も、かかさずに真夜中の道を観音堂へと通い、一心に祈り続けた。 若い娘の身でありながら、遠い山路を、しかも真夜中に通い続けることは並大抵のことではなかった。 えたいの知れない獣の叫び声、メリメリと木の枝の折れる音、ぶきみなふくろうの鳴き声、ある時は全身を雨に打たれ、ある時は吹き巻く嵐に道を見失うなどし、それでも辰子はおそれなかった。 やつれて見える頬はいよいよ美しさを増し、思いつめた黒い瞳は怪しいまでに輝きを増していくのだった 新着コメント(コメント24件)• 匿名希望。

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